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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「新人を育てる上での“じっくり”の定義(後編)」

 

試合だけが育成の場ではないという考えは、ロッテ・佐々木朗の育成法につながる


 佐々木朗希が高卒2年目での先発デビューを果たした3日後の5月19日、タイガースの高卒2年目、西純矢が甲子園で鮮やかなデビューを飾った。プロ初登板、初先発となったスワローズ戦、「心臓が飛び出るくらい緊張しました」という西純は立ち上がり、いきなりフォアボールを連発する。しかしクリーンアップにストレート勝負を挑んで初回をゼロで切り抜けると、2回以降も西純はスワローズ打線にヒットを許さず、5回をノーヒット、無失点に抑えて87球で交代した。4つのフォアボールを反省点に挙げながら、お立ち台で「圧倒的なピッチングができるようなピッチャーになります」と声高らかに宣言した19歳。高卒2年目の初登板初先発初勝利は、球団史上3人目の快挙だった。

 2019年のドラフトでタイガースは1位の西純以下、井上広大及川雅貴遠藤成藤田健斗とNPB史上初めて甲子園に出場した経験を持つ5人の高校生を上位から指名した。彼らは今、二軍の試合で経験を積んで将来に備えている。タイガース以外にもスワローズの奥川恭伸武岡龍世、ベイスターズの森敬斗、ドラゴンズの石川昂弥、イーグルスの黒川史陽ら甲子園を沸かせた高卒2年目の選手が高校時代の経験値を生かして、すでに一軍の試合に出場している。バファローズの宮城大弥は、すでに一軍の先発ローテーションのど真ん中で勝ち星を積み重ねているほどだ。

 また甲子園を経験していない高卒2年目の選手も、佐々木朗のほかにバファローズから2位指名を受けた紅林弘太郎が今年、開幕から一軍に定着しており、今年は二軍で実戦経験を積んで“じっくり”育てられている1位指名の石川昂や森を一歩リードしている(ように見える)。

 そこで“じっくり”の定義である。いったいどうすれば“じっくり”育てたことになるのか。何人かの野球人に投げ掛けてみたら、いくつもの興味深い答えが返ってきた・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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