地方球場ではあるものの、プロ野球ファンにはなじみ深い草薙球場[写真は1994年]
アメリカで長い年月、変わらなかったものは野球だけだ――映画『フィールド・オブ・ドリームス』のよく知られた一節である。
その言葉が蘇(よみがえ)る瞬間があった。
2021年6月27日。
この日、静岡の草薙球場で行われたファイターズとマリーンズの試合を観た。先発の
加藤貴之が一番の
荻野貴司に第1球を投じ、ストライクが
コールされた瞬間、全身に震えが来て目頭が熱くなってしまったのである……またも私事で申し訳ないのだが、このときに感じたことをどうしても綴(つづ)っておきたいのでお許し願いたい。
涙が溢(あふ)れたのは、隣に84歳の父がいたからだ。現在、静岡に住む父は大のファイターズ好きで、毎試合欠かさずテレビを観ながら応援している。今シーズン、ファイターズが公式戦を草薙で開催すると知ったとき、体調さえよければと思い立って、行きたいかどうかを父に訊(たず)ねた。するとぜひということだったので発売日にチケットを予約して、この日に備えた。
実はその週・・・
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