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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「トウモロコシ畑の中の野球場が現実に」

 

広大なトウモロコシ畑の中にある球場。ここでメジャーの公式戦が開催された[写真=GettyImages]


 手前味噌ながら、アメリカの野球殿堂と野球生誕の地とされるダブルディ・フィールドがあるクーパーズタウンへは何度も足を運んだ。いやいや野球生誕の地はこちらだと主張するホボーケンへも行ったし、カンザスシティにあるニグロ・リーグ博物館にも行った。ボルティモアのベーブ・ルースの生家もルイヴィルにあるバットの博物館も、バーミングハムの世界最古の野球場、リックウッド・フィールドもこの目で確かめた。ブルックリンにあったエベッツ・フィールドの跡地を訪ねたこともあるし、メジャー30球団の本拠地のうち、29の街を制覇している。

 しかし、残念ながらここにはまだ一度も行ったことがない。

 アイオワ州ダイアーズビル。

 映画『フィールド・オブ・ドリームス』の撮影地として知られるこの地には、映画に登場したトウモロコシ畑の中の野球場が残されている。「それを作れば彼はやってくる」という天の声を聞いた主人公のレイ・キンセラが自らのトウモロコシ畑を潰(つぶ)して野球場を作ると、そこへやってきたのは往年の名選手、シューレス・ジョー・ジャクソンだった。ワールド・シリーズで八百長を働いたとして(ブラックソックス事件)球界を追放されたシューレス・ジョーは、野球をする場を奪われていた。

 この球場はそんな彼の夢を叶える場となる。そしてレイの耳に次々と届く天の声に従うと、野球にまつわる心の痛みや悔いを残した作家、医者、ついにはケンカ別れしたままこの世を去ったレイの父までもが、この球場へとやってきた。レイと若き日の父とのキャッチボールは、このファンタジー映画のハイライトだ。

 そう、これはあくまでも・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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