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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「25回目にして歴史的一歩女子も目指せる甲子園」

 

甲子園での決勝前、神戸弘陵高は部員全員で円陣を作った


 1993年のことだった。

 Jリーグが始まって日本中がサッカーブームとなり、野球人気の凋落(ちょうらく)が叫ばれていた……そんな時代。とある、野球が好きで好きでたまらないひとりの女子高校生に出会った。子どものころには彼女自身も学童野球のチームに入っていたのだが、中学に入ると野球を続けられるチームがなく、プレーすることをあきらめた。もちろん高校野球も好きで、春と夏の甲子園は欠かさずテレビで観ていた。

 そんな彼女はやがて都内の私立高校に進学する。しかし、その高校には硬式野球部がなかった。野球をやっているわけではなかったのに、なぜか彼女は苛さいなまれてしまう。「このままでは甲子園を目指せない」と……そこで彼女は野球部を作っちゃおうと思い立つ。仲のいい友だちを誘い、野球部員を集めようとしたのだ。9人そろえるのは容易ではなかったが、次第に彼女の熱意が広がってほかの運動部員も入部を申し出てくれるようになった。ついに9人を超えた野球部は学校から認められる。監督がいればという条件付きで――。

 ただ、これが難題だった。

 野球部の監督を引き受けてくれるような、野球経験のある先生がいなかったからだ。困り果てた彼女は妙案を思いついた。

「そうだ・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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