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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「大谷とルースの二刀流は似て非なるもの」

 

どちらかに絞ろうとせず、両方をやってのけようとするのが大谷の二刀流[写真=Getty Images]


 3年前といえばまだコロナ禍に苛(さいな)まれることもなく、いろんなことが今とはずいぶん違っていた。そしてこの光景もまた、3年前には想像もつかなかったろう。エンゼル・スタジアムでゲームが始まる。いきなりマウンドへ上がるのは先発の大谷翔平だ。1回表、相手の攻撃をゼロに抑えるとその裏、二番バッターとして打席に入るのも大谷だ。もはやエンゼルスの“二番、ピッチャー大谷”は、珍しくもなんともない。

 しかし、3年前はそうではなかった。あれは2018年2月14日のことだ。エンゼルスのスプリング・トレーニング、初日に集合したのはバッテリー組のみ。大谷の名前はこのバッテリー組の中に書き込まれていた。まずはピッチャーとしてスタートするということだ。それでもキャッチャーだけが行うバッティング練習の欄には大谷の名前があった。もちろんほかのピッチャーの名前は見当たらない。やがて真っ赤なエンゼルスのユニフォームに身を包んだ大谷が、大勢のカメラマンが待ち受ける中、左手でグラブを持ち、左肩にバットケースをかけてグラウンドへ現れた。そんな大谷に対し、アメリカの誰もがメジャーでの二刀流に懐疑的な目を向けていた。

 思えばそのさらに5年前、2013年にも似たような光景を見た。沖縄の国頭で始まったファイターズの二軍キャンプ。例年なら・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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