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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「MLB取材で直面したアメリカの日常と非日常」

 

大谷の活躍が話題になるなど、メジャーは以前の活気を取り戻しつつあるが……[写真=Getty Images]


 久しぶりの渡米は慣れないことばかりで、準備から気苦労が多かった。例えばアメリカ行きの国際線に乗るためには搭乗72時間前のPCR検査が必要とされている。そこで搭乗3日前に検体を採取、それをすぐ検査機関へ送ろうと郵便局へ持ち込んだのだが、これがパラリンピックの交通規制の時期と重なり「速達でもゆうパックでも明日には届けられません」と告げられて、慌てふためいた。

 一事が万事、コロナ禍での決め事はいろいろあっても、その運用は現実的でないことだらけだ。こうしろ、ああしろと言われるだけで、こうすればいい、ああすればいいという方法論は明示されない。今や、すべてが自己責任で何とかしろという国になってしまった幾多の混乱の中、医療崩壊などに比べればさしたる問題ではないのかもしれないが、とはいえ郵便局員に「渋谷区内へ明日中に届けたいなら、今夜中に渋谷本局に持ち込めば届きますよ」と勧められて、これにはさすがに呆(あき)れ果てた。

 いやいや、渋谷区へ送りたいものを渋谷の郵便局に持っていくなら自分で届け先まで持っていくと悪態をつきたくもなる。結果的に検査は出発に間に合ったのだが、ギリギリまで何が起こるか分かったものじゃない。だからワクチンを接種したクリニックに英文での接種証明書を発行してもらった上で、自治体にはワクチンパスポートを依頼。念のために二重の備えをして、やっと機上の人となった。

 1年半ぶりにやってきたアメリカ──まず驚かされたのが閑散とした空港だった。これまでLAX(ロサンゼルス空港)といえば、入国審査に並ぶこと1時間なら早いほうで、乗り継ぎ便がある場合は国際線の到着から4時間の余裕を見ないと精神衛生上よくないという大嫌いな空港だった。ところが今回・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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