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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「攻めるって何? 中村悠平のリード」

 

扇の要としてチームを日本一に導いた中村[右]。若い投手陣をリード面で支えた


 種茂雅之、森昌彦、古田敦也阿部慎之助甲斐拓也、とくれば次に入る名前は何か。ここで「栗原陵矢」と答える野球好きがいたとしたら、いやいや、アナタは詳し過ぎる。ここは素直に「中村悠平」と答えてほしいところ。確かに栗原は捕手登録ではあったが、出場は外野手としてだったからだ。

 そう、この6人は過去、日本シリーズでMVPを獲得したキャッチャーだ。今年、72回目を数えた日本シリーズ、六番に入って全試合にフル出場を続けたスワローズの中村は、打線の中でカギを握るイヤらしい存在として、打率.318、打点3をマーク。キャッチャーとしてもチーム防御率2.09という数字をたたき出す投手陣の好投を引き出した。6戦のうち5試合が1点差、もう1試合も2点差という緊迫した戦いの中、一人でマスクをかぶり続けた中村の存在は、守りで日本一に貢献したという点でもMVPに相応(ふさわ)しい。

 思い起こせば3年前、ホークスの甲斐は打つほうで打率.143、打点ゼロながら、6連続の盗塁阻止でカープの機動力を封じ、MVPに輝いた。さらに遡れば1967年、V3を成し遂げたときのジャイアンツで、ホームラン1本を打ったものの打率.227の森も守備面を評価されて獲得したMVPだった。(阪急)ブレーブスを4勝2敗で下したこのシリーズ、森は34歳の金田正一、27歳の城之内邦雄、19歳の堀内恒夫らをうまくリードしてジャイアンツを日本一に導いた守りが評価されたのだという。当時・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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