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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「147球で示した“ホンモノのイチロー”」

 

1996年のオールスターでマウンドに上がったイチローだが、現在の年齢は48歳……


 監督以下、神戸智弁のメンバーは15人。そのうち高校で硬式野球の経験があるのは9人で、残る6人の中には軟式野球の経験さえない人もいる。サッカー部、剣道部、新聞部……イチローが「今のウチは墨谷二中」と好きな野球マンガ『キャプテン』(ちばあきお)に準えた言い方をするのだが、いやいや、墨谷二中というより江田川中のほうが近いかもしれない。

 『キャプテン』の愛読者でない方々にはピンとこない表現で申し訳ないのだが、スーパーエースの井口を擁した江田川中はもともと弱小チームで、守備はボロボロ、打線にも頼れず、井口が投げて打って勝つしかないチームだった。そして神戸智弁にも投げて打って勝てる、超がつくスーパーエースがいる。それがイチローだ。

 イチローのほかに、キャッチャーの藤本博史もプロ経験者だ。スタメンには松山商高のレギュラー、早実の元主将、愛工大名電でイチローのチームメートだったサードなど、目を見張る経歴の選手はいるものの、なんといっても平均年齢50歳を超えるチームである。そういう神戸智弁が、イチローいわく「青葉学院」のごとき女子高校硬式野球部の選抜チームに勝てるとは思えない。つまり頼れるのは、投げて打ってのイチローだけだった。

 “墨谷二中”が“青葉学院”と互角に戦うためのイチローならではの戦略もあった。整列、挨拶の仕方から・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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