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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「“インタビュー”と“取材”の大きな違い」

 

大谷翔平を囲む記者たち。こんな風景が数年前までは日常だったのだが……


 オミクロン株のせいで、またも暗雲が漂っている。沖縄と宮崎で状況は異なっているものの、現地に赴こうという取材者にとって漂う暗雲とはもちろん、取材ができなくなることに尽きる。コロナ禍、メディアは選手に接触することができず、話し掛ける機会もない。となると訊きたいことについて話を聞くことができず、書きたい原稿が思うように書けない。そんな状況はずっと続いている。

 だからほとんどの球団の広報担当はオンラインの設備を拡充して、メディアと選手たちとの接点を作ろうと尽力してきた。その結果、対面取材を認めてくれるファイターズのような球団も含めて、昨年のキャンプでも選手に話を聞き、原稿を書くことはできていた。シーズン中もメディアが要望し、あるいは広報がチョイスした選手は試合後、オンラインを通じて質問に答え、そのコメントをもとに記事は世に発信されていた。一見、何も変わっていないように見える。

 しかしコロナ禍のもと、できなくなったことは依然として変わっていない。確かに今も“インタビュー”はできている。しかし“取材”は十分にできているとは言えない。実はNPBの現場における“インタビュー”と“取材”という言葉は、そのニュアンスが微妙に違っているのだ。

 インタビューは各球団の広報がセッティングした場に選手が現れ、聞き手と向き合う場だ。おおよそのインタビュー時間は決められていて、試合直後の共同会見のように聞き手が複数の場合もあれば、選手がそのために時間を作ってくれて一対一で向き合えることもある。

 一方の取材というのは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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