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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「ナリタブライアンと28年前の“あの試合”」

 

筆者が巨人・槙原の完全試合を見守ったのは、遠く北の大地だった


 ナリタブライアンという名馬をご記憶だろうか。1991年に生まれ、1998年に亡くなった。皐月賞、日本ダービー、菊花賞のクラシック三冠を獲得、有馬記念にも勝ったのは28年前、1994年のことだ。おそらく30代半ばくらいまでの若い世代にとっては、歴史上の名馬という知識はあってもナリタブライアンが爆走する力強い姿のリアルタイムでの記憶はないだろう。もしかしたら流行の『ウマ娘』でその名前に馴染(なじ)みがある人もいるかもしれない。

 いや、とにかくとんでもなく強い馬だった。皐月賞は2着の馬と3馬身差をつけて圧勝、日本ダービーでは5馬身、菊花賞では7馬身もの大差をつけて、ぶっちぎりで勝った。自分の影に脅える臆病な気質をカバーするためにつけた白いシャドーロール(足元の視界を遮(さえぎ)るために鼻の上に装着する馬具)が功を奏して集中力を増し、快進撃をスタートさせたナリタブライアンは、のちに“シャドーロールの怪物”と呼ばれる。驚異的な強さを見せる半面、夏に弱かったりケガが多かったりと脆(もろ)さも併せ持った怪物が放った一瞬の輝きは、今も鮮烈なまま変わらない。

 そのナリタブライアンにことさら特別な想いを抱いているのは1994年、この馬の母馬、パシフィカスをテレビの取材で追いかけていたからだった・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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