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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「大記録達成に欠かせぬ投打の共同作業」

 

完全試合継続中の大野が、自らのバットで決めればドラマチックだったが……


 佐々木朗希がホークスと対峙した連休真っただ中の5月6日、千葉で彼のピッチングを見ていた。2回表に先制を許しながら11個の三振を奪う佐々木のピッチングに、スタンドはマリーンズ好きの歓声とホークス好きの溜息で包まれる。3回裏、逆転したマリーンズが3対1とリードしたまま、佐々木は6回で降板した。そんなとき、名古屋から思わぬ報(しら)せが届く。

 ドラゴンズの大野雄大がタイガースを相手にパーフェクトピッチングを継続中だというのだ。その後はついつい、スマホで名古屋の試合の行方を追ってしまった。大野は3年前、ノーヒットノーランを達成している。球史を紐解(ひもと)くとノーノーとパーフェクトを両方達成しているのは藤本英雄金田正一外木場義郎の3人。さらにもしこの試合で大野が完全試合を達成したら、1966年の佐々木吉郎田中勉以来、56年ぶりとなる“1シーズンに2人の完全試合”という快挙になるはずだった。

 1966年の大記録は10日空けただけの連鎖だったのだが、今年も佐々木朗希から1カ月も空けずに完全試合が続いたら、この半世紀、飛躍的に向上しているバッティング技術を思えば奇跡と言っていい。しかも33歳の大野が史上最年長、20歳の佐々木が史上最年少での記録達成となれば、これまた興味深い連鎖である。

 思えば今年、佐々木朗希が28年ぶりに達成した完全試合、その前は16年の時を遡(さかのぼ)らなければならなかった。1994年の槙原寛己の前は1978年の今井雄太郎、その前は1973年の八木沢荘六。つまり藤本がNPB史上初の完全試合を達成した1950年からの22年で12度記録されていた完全試合は、八木沢以降、佐々木までの50年間で4度しか達成されていない。となれば・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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