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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「臆病ながら実力者という愛すべきキャラの2人」

 

「打てない」がフォーカスされがちな巨人の捕手・小林


 流行モノには結構食いつくタイプではあったのだが、最近は歳のせいか、どれもこれもというわけにもいかず、例えば『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)にはついていけていない。そんな話をしていたら鬼滅好きの友人に、この作品がいかに素晴らしいかを力説された。彼によると『鬼滅の刃』に登場する“我妻善逸”なる剣士がイチオシなのだという。

 善逸はとても臆病で、鬼を目の前にすると怯(おび)えて泣き出したり、修行から逃げまくったりするのだそうだ。それがいざ命の危機、緊張の限界に達すると突然、眠りに落ち、そこで初めて本来の強さを発揮する。ちゃんとやりたいのにちゃんとできない、怯えて逃げて泣いてしまうのに、覚醒したときの強さは半端なく、ヘタレで誠実、しかも男らしいという、実に愛すべきキャラクラーなのだとか……そんな話を聞いていたら野球好きの血が騒ぎ、善逸ばりの愛すべき2人の顔が思い浮かんだ。

 1人目は小林誠司だ。交流戦までにジャイアンツが戦った67試合のうち、小林が出場したのは29試合、スタメンに名を連ねたのは19試合。課題とされたバッティングは相変わらず低空飛行が続き、58打数9安打、打点は3、ホームランはゼロ。しかも四球はわずか1、打率が.155で出塁率も.169という結果が残る。

 ただ、これは今までに何度も書き綴(つづ)っているのだが、キャッチャーは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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