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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「大瀬良が初球にスライダーを選んだ意味」

 

07年、セ初となる開幕戦の初球先頭打者本塁打を放った巨人・高橋[手前は打たれた横浜・三浦]


 ホームゲームで先発するピッチャーの特権が真っ新(さら)なマウンドに立てることなら、ビジターの一番バッターの特権は真っ新なバッターボックスに立てるというところだ。ドジャー・スタジアムで行われた今年のMLBオールスターゲーム、ナ・リーグの先発ピッチャーとして真っ新なマウンドに上がったのはクレイトン・カーショー、ア・リーグの一番バッターとして真っ新なバッターボックスに立ったのは大谷翔平だった。

 まず先に仕掛けたのは大谷のほうだ。前日に「ホームランを狙ってスイングしたい」と話し、試合当日のバッターボックスに入る直前、インタビューマイクを向けられた大谷は英語でこう言った。

「FIRST PITCH, FULL SWING, THAT'S IT!」(初球、フルスイング、以上!)

 初球を振る。もちろん狙うのはストレートだ。カーショーは試合後、「振ってくると分かっていてもオールスターの初球にカーブを投げるわけにはいかないだろう」と語ったことが報じられている。栄えあるオールスターの先発としてカーショーはストレートを投げる、大谷がフルスイングする。その結果――カーショーのアウトコースのストレートを大谷はバットの先で弾き返し、打球はセンター前へ落ちた。強いストレートと速いスイングが交わって火花を散らす。カーショーは大谷のバットをへし折り、大谷はバットを折られながらもヒットを放った。ゾクゾクするような“1球勝負”だった。

 ふと浮かんだのは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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