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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「引退を決めた内海哲也が大事にした『家族』」

 

引退発表後、8月17日のソフトバンク戦[ベルーナ]で一軍マウンドに上がった内海


 8月16日、日刊スポーツの朝刊で第一報を目にした。一面の見出しは「号泣告白、内海『引退するわ』19年135勝、40歳区切り」――ああ、ついに来たか、と思うと同時に「号泣」という二文字に引きつけられた。その答えは程なく見つかる。「6日夜、家族に」……その10日前、内海哲也は妻と4人の子どもに引退の決意を伝えた。その際、家族全員が号泣したのだという。

 家族――内海の口からいったい何度、この言葉を聞いたことだろう。野球選手にインタビューをして、これほど「家族」と連呼した選手をほかに知らない。内海がジャイアンツのど真ん中で投げていたとき、グローブの内側に「家族」と刺繍(ししゅう)を入れている理由を訊(き)いたら、彼はこう言っていた。

「自分の家族はもちろん、チームメート、ファン……全部を家族だと思ってます。人間は一人じゃ何もできない。それでもピンチになればマウンドでは一人なので、自分で何とかしなければならない。そういうとき、支えてもらっているすべての人のことを思い出せる言葉がこの『家族』なんです」

 ジャイアンツで故障に悩まされて思うように勝てなくなったときも、内海は誰よりも早く球場へやってきて・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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