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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「シアトルで愛され続ける“ICHIRO”」

 

マリナーズで数々の記録を打ち立てたイチロー[写真は1年目の2001年]


 久しぶりのシアトルだった。

 この街へ行くときはダウンタウンではなく、郊外に泊まることを常としていた。レンタカーで動くことが多いため、ダウンタウンに泊まると食事をするにも買い物をするにも、いちいち車を停めるのに苦労する。だから郊外のほうが便利だったりするのだ。球場そばのフリーウェイで東へ15分ほどのベルビューという街の雰囲気が好きで、ここのホテルに何百泊もした。郊外なので駐車場はそれなりにあって、行きつけのカフェ、レストラン、スーパーマーケットなど、勝手知ったるお気に入りの店がそろっている。まるで住む街の如く、異国の地にいながら居心地のよさを感じさせてくれるのがベルビューという街だった。

 とりわけ好きだったのは、球場へ向かう道すがらの車窓だ。ベルビューからシアトルへ続くフリーウェイの90号線はワシントン湖を渡る。その際、湖にかかった橋が下り坂になっていて、まるで湖の上を滑り下りるかのような錯覚に陥るのだ。真っ青な空の下、真っ青に輝く湖と遠くに見えるシアトルのビル群。湖を渡り切るとトンネルへ入り、出たところでいきなり球場が見えてくる。真正面にそびえ立つ球場には異様な迫力があり、これも絶景と言っていい。

 そのシアトルのT-モバイル・パーク(未だにセーフコ・フィールドのイメージが拭えないが)のコンコースに、マリナーズのホール・オブ・フェイム(殿堂)がある。球団創設45年目を終えた昨年末、イチローの球団殿堂入りが発表され、8月28日、シアトルでセレモニーが行われた。マリナーズの殿堂入りはイチローで10人目、日本人選手がMLBの球団殿堂に入るのは初めてのことだ。

 マリナーズの殿堂には・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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