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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「30年前に見た日本一への執念」

 

93年の日本シリーズでは野村ヤクルトが前年の雪辱を果たして日本一になった


 三昔前のスコアブックを開いてみた。『1993年日本シリーズ』と題された一冊には、王者と挑戦者の死闘を雄弁に物語る詳細なスコアが書き残されている。そしてその片隅には、試合終了直後のある光景が記されていた。

「レフト後方に落ち葉焚きの煙が見える。野村監督の胴上げ、陽が傾きかけた15時51分、空は茜色」

 ついに頂点に立った新王者と落日の元王者のコントラストを描くのには実に都合のいい、黄昏れた色の空だった。Jリーグが始まり、“ドーハの悲劇”の直後に行われたスワローズ対ライオンズ。視聴率は初の1ケタ台に落ち込み、これが最後のデーゲームとなったのがこの年の日本シリーズだ。2年続けて同じ顔合わせとなった7試合……いや2年越しの14試合は、その注目度とは裏腹に、激闘と呼ぶに相応しい名勝負だった。

 その前年の1992年、14年ぶりの日本シリーズに出場したスワローズは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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