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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「日の丸の誇りを胸に歩むシーズンへのプロセス」

 

腰の張りでWBCでの登板なく日本代表を離れた栗林良吏[写真中央]だが、日の丸の熱き想いは胸にある[写真=高原由佳]


 WBCが終われば、日米ともに程なくペナントレースが開幕する。日本代表に名を連ねた選手にノーヒットが続けばWBCの疲れが原因かと言われ、開幕から好調を維持すれば早い調整が功を奏したからだと言われる。不調をWBCのせいにするなら好調をWBCのおかげにすべきではないし、逆もまた同じだ。WBCに出場した選手が今シーズンの好不調をそこに結びつけられるのは宿命だとはいえ、本当にそれが影響しているのかは選手自身にも分からない、という話を聞いたことがある。だからこそ結果から逆算してWBCの影響を語るべきではないと思うし、むしろ大事なのは選手がその影響をどのように乗り越えようとしたか、そのプロセスではないかと思う。

 そういう意味で、そのプロセスを注視したいのがカープの栗林良吏だ。WBCの1次ラウンド初戦で栗林は腰の張りを訴えたのだという。それよりも先に聞こえてきたのは、日本代表がバファローズに対して、山崎颯一郎にWBCで使用しているメジャー球でのピッチングを依頼している、という話だった。3月10日のジャイアンツとのオープン戦では山崎だけがメジャー球を使って登板したらしいとなれば、誰かに異変が起こったと邪推したくなる。すると韓国戦の試合前、選手紹介でグラウンドへ出てきた栗林の走り方が明らかにおかしかった。どこかを庇(かば)うように、そろそろと走っている感じがしたのだ。のちに腰の張りと聞いて合点がいった。栗林は1次ラウンドを全勝で勝ち抜いた直後、登板なしでチームを離脱することになる。栗山英樹監督は苦渋の決断について、こう話した・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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