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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「“間”を楽しむためにも言われる前にやる」

 

今季からMLBで導入されたピッチクロック。日本でも導入される可能性はあるが、無粋なルールを設けなくても、できることはある[写真=Getty Images]


 ずいぶん昔のCMの話だ。ぐうたらな夫役に扮した西田敏行さんに、妻がどこやらから声をかける。

「あなたー、トイレ掃除、やってくれた?」

 そんな妻の声に、夫は地団駄を踏む。

「今、やろうと思ったのになあ。言うんだもんなあ」

 ずいぶん流行ったこのフレーズは、調べてみたら1977年に放送されたお風呂洗剤のCMだった。このCMを見た子どもたちは母に「宿題やったの」と問い詰められると、「あーあ、今やろうと思ったのになあ、言うんだもんなあ……言われなかったらやったのに、先に言われちゃったからなあ、もうやらないよ」という謎のロジックを駆使しながら拗(す)ねてみせ、ぐうたらを貫いたものだった。

 そして今、このときのCMの妻の声が時計に重なって見える。

「ヘイ、ピッチャー、投球間隔、短くしてくれた?」

 イニング間の時間を測る時計こそ見たことはあったものの、プレー中の時計を見慣れない野球場ではあまり馴染(なじ)みがない・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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