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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「22年ぶりにシアトルの街にオールスターがやってくる」

 

2001年以来、22年ぶりにシアトルで開催される今年のMLBのオールスターゲーム。22年前はイチローが存在感を示したが、今年は──[写真= Getty Images]


 仕事机の上に、ミニチュアのトレーラーが置いてある。大きさでいえば羊羹1本分で伝わるだろうか。手に持つと羊羹と同じように、ずっしりとした重みを感じる、豪華なミニチュアだ。トレーラーのコンテナには“2001オールスター”のロゴマークが入っている。そう、これは01年にシアトルで行われたMLBのオールスターゲームのグッズなのだ。

 なぜ、このトレーラーを大事に飾ってあるかといえば、これを眺めていると、あるはずのないイメージが膨らんで幸福感に包まれるからだ。そのイメージとは『もしそういう人たちがいるのだとすれば、きっと“彼ら”はこんなトレーラーに乗って全米を移動しているに違いない』……そんな物語を聞かせてもらったことがある。“彼ら”とは、オールスターゲームを準備する“真夏のサンタクロース”たち。でっかいコンテナに夢をいっぱい詰め込んで、一年に一度の大切な日のためにアメリカの街から街へとトレーラーを走らせる。1999年はボストン、2000年はアトランタ、そして01年はシアトルへ──。

 MLBのオールスターゲームは1年に1試合。夏の一日のためにその準備に携わる人々は1年も前からその街に入り、準備をしているのだと聞いた。街のいたるところにオールスターを告知する特別な旗が掲げられている。セーフコ・フィールド(当時)は特別な化粧を施され、マリナーズの選手たちは・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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