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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「2つの顔がある“城下町”は野球の神様からのプレゼント」

 

阪神タイガースの本拠地であり、高校野球の聖地である甲子園。2つの顔を持つ球場は、歴史館で堪能することができる(写真は、甲子園球場内時代の歴史館=BBM


 これまでにも何度か綴ってきていることではあるが、22歳から仕事で野球を35年見続けているベースボールライターの10代は、巨人とともにあった。長嶋茂雄の引退直前のプレーを10歳のときにギリギリで生観戦。長嶋監督になってからは王貞治張本勲のOH砲に胸をときめかせ、新浦寿夫小林繁の美しいピッチングフォームに魅了された。藤田元司監督になってからは江川卓西本聖のダブルエースの虜となり、中畑清原辰徳が放つ光に興奮した。

 一方で、個人的に巨人の宿命のライバルは、阪神ではなく中日だった。名古屋に住んでいたせいで巨人を愛した反動はアンチドラゴンズという形で現れたのだ。いわゆる“アンチ”はファンと表裏一体、つまりアンチドラゴンズは中日のことにやたら詳しく、その分、親しみもあった。星野仙一松本幸行鈴木孝政木俣達彦高木守道谷沢健一ら、当時の中日のレギュラーたちへの想いは、今、振り返ってもアンチという形で愛していたとしか思えないほどだ。

 そこで、阪神である。

 巨人との伝統の一戦は、東と西の対決という分かりやすい図式も相まって、宿命の対決として語り継がれてきた。しかし、あれほど巨人愛に満ちていた10代、なぜか阪神のことを敵視した覚えはない。むしろ・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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