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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「圧倒される宜野座の熱量 待ち焦がれる5代目」

 

巨人との首位攻防戦[後楽園]となった1973年10月10日。6回表に逆転満塁弾を放った田淵幸一の勝負強さは抜群だった[写真=BBM]


関西圏では生活の一部 もはや文化の阪神ファン


 コラムニストのえのきどいちろうさんとタイガースについて語り合ったとき、えのきどさんが阪神ファンについて、こう話していたことが強く印象に残っている。

「人間が死んだあと、閻魔様の前に行ったとき、『要するにお前は何者なのか』と問われたら、『阪神ファンですワ』『三代続けてタイガースを愛してまんねん』というふうに言える人がいっぱいいそうな感じがすごいと思うんだよね」

 職業やら血筋やら出身校やら、ふとすがりたくなる自らの属性の中に“阪神ファン”が確立している感じがすごいというのは同感で、名前より先に名刺がわりに使える肩書きになり得るのが阪神ファンなのかもしれないと感じ入った。日々のど真ん中にタイガースが鎮座しており、タイガースの結果に一喜一憂。関西圏では野球にさほど関心のない人にもタイガースが勝ったか負けたかは否応なく届いてしまうのではないかと思うほど、タイガースが生活の一部になっている文化を今も絶やさない“阪神ファン”。そういう人生を歩む野球好きが羨(うらや)ましくもある。

 今春も宮崎、沖縄キャンプを取材して歩いたのだが、今やどのチームのキャンプもそれなりに盛り上がっている。バファローズのキャンプに行けば、かつては人もまばらだった宮崎市清武がオリ好きで溢(あふ)れており、選手までもが「すごい数のお客さんにビックリします」と目を丸くしていたほど。那覇から車で2時間もかかる雨の国頭にもファイターズ好きが足を運んで宮西尚生鍵谷陽平のブルペンセッションを見守っていたし、ドラゴンズの北谷キャンプでもグッズ売り場に長蛇の列ができていた。

 そんな中、タイガースの宜野座キャンプに行くと・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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