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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「見誤るべきではない“意外な”存在感」

 

“捕手として”の評価は打撃にあらず。巨人小林誠司[写真=BBM]の存在感は、投手の声から分かることだ


阿部慎之助が変えた巨人の捕手の歴史


 東京ドームでのオープン戦。

 9回裏、1対2と1点をリードされたジャイアンツの阿部慎之助監督はワンアウト一、三塁のチャンスで、代打を告げる。

「バッター、小林──」

 アナウンスの直後、スタンドが異様なまでに盛り上がった。この現象はいったい何なのだろう。

 打てないことでその名を轟かせているからこそ、それでも愛すべきキャラが知られているからこそ、そして誰もがキャッチャーとしてのポテンシャルを認めているからこそ、代打に出てきただけでこれほど盛り上がる。今年、35歳になる小林誠司は、そういうキャラとして存在感を示している。

 打率5割!(と言っても4打数2安打)やら、世界のコバヤシ!(WBCで4割打ったのはもう7年も前)やら、そんなイジり方をしたくなるのも小林ならでは。昨シーズンは21試合の出場で、立った打席は9、打ったヒットは1本。そんな小林が期待に応えるのだから、野球も小林も面白い。

 カウント1-1からマリーンズの西村天裕の変化球に手を出して空振りを喫した小林は、あっという間に追い込まれてしまう。そこから・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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