週刊ベースボールONLINE

石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「異国で躍動する姿を見て思いを馳せる彼らの原点」

 

現地時間4月1日のロッキーズ戦でメジャー初登板初先発を果たしたカブス・今永昇太が、6回無失点で初勝利を手に。快投を見せた左腕が原点と位置づけるのは……[写真=Getty Images]


投げる哲学者の空気を察する力


 メジャーが開幕すると、ほんの1カ月ほど前のアリゾナがやけに懐かしく思い起こされる。高い評価を受けたメジャー1年目の日本人選手にとってのスプリング・トレーニングは、否が応でも品定めをされてしまう厳しい日々でもある。目指してきた場所に高揚した気持ちもありながら、慣れない環境で結果を出さなければならないプレッシャーもある。そんな姿を見ていると、以前に聞いた彼らの原点につい思いを馳せてしまう。

 アリゾナへ来ると決まって足を運ぶのが、カブスがスプリング・トレーニングを行っているメサのコリアン・レストランだ。この店のポッサムは、茹でた豚肉をキムチ、コチュジャン、ニンニクとともに白菜で巻いて頬張るのだが、これが唸ってしまうほど美味い。

 今年、ベイスターズからカブスへ戦いの場を移した今永昇太はデビュー戦で鮮烈なピッチングを披露し、メジャー初勝利をマークした。ホーム開幕戦となるロッキーズ戦で6回ツーアウトまでノーヒットピッチングを続け、リグレーに集う野球好きを仰天させたのだ。そんな今永と、ほかのピッチャーのフォームのモノマネが上手い話で盛り上がったことがある。

「結構、特徴をとらえることはできると思います。出身が福岡(北九州市)でしたから、子どものころからホークスの杉内(杉内俊哉)さんや和田(和田毅)さんのマネをしていました。僕、調子が悪くなったら、誰かのマネをするんですよ」

 研究熱心で器用、センスに溢れている。モノマネが上手いというのは、目で見て脳に刻んだ動きを神経を通じて指先にまで伝え、正確に再現する能力に長けているということだ。だから、いろんなことができてしまうのだろう。

「(北筑)高校時代・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング