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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「世間話から野球の話へ 昭和のたまらない魅力」

 

1974年、ロッテとの日本シリーズ第3戦[後楽園]で、第1戦で4打数無安打に終わった中日谷沢健一が2打席連続本塁打。快音の裏に“4タコの夜”のエピソードがある[写真=BBM]


予想もしない場所で予想もしない人から


 うまいものに出逢った話をよくここで綴っているが、残念ながら、まずいものにも出逢っている。食べることに関しては鼻が利くほうなので、その確率は極めて低いとは思っているものの、うまいものに出逢おうと思えば、まずいものは避けられないこともある。菅野智之がオリオールズのスプリング・トレーニングに合流したニュースを見て、思い出したことがあった。

 オリオールズは今、フロリダ州のサラソタでスプリング・トレーニングを行っている。ここへ行くためにはサラソタ・ブラデントン空港が便利で、オリオールズのサラソタ、パイレーツのブラデントンへ行くときはこの空港を使っていた。フロリダの典型的な田舎街ではアジア人の姿を見ることは稀で、米の摂取不足に悩まされる。桑田真澄がパイレーツに入団した2007年当時、ブラデントンにあったスシ屋には「まぐろ」でなく「まくろ」、「えび」でなく「えひ」と濁点のないネタの札が掛かっていて、すかさず退散した記憶がある。中華料理の店を見つけたときは小躍りしたものだったが、その店で頼んだ炒飯はとてつもなくまずかった。色はレモン系ではなくカレー系の黄色で、しかしカレーの味はしない。そもそも、味がないのだ。米はべちゃべちゃで、どうしたらこんなに酷い炒飯ができるのかという、あのショックは今も忘れられない。ブラデントンで米を求めてはいけないというのが、18年前に得た教訓である。

 そんなことを・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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