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広島・秋山翔吾インタビュー どこまでも、超絶リアリスト「ここまでは『ぼちぼち』。気力と体力的には充実してやれている」

 

帰ってきた声援を力に変えて、2023年シーズンを彩る男たちがいる。戦いの場で輝ける“今”をつくり出す球人たちの声をお届けする新連載。第1回は、移籍2年目を迎えた秋山翔吾が自身について語る、語る、語る。好スタートを切った今季も、現状を冷静に見つめている。
取材・構成=菅原梨恵 写真=桜井ひとし、牛島寿人

広島・秋山翔吾[外野手/13年目]


開幕直前に刺さった言葉


 開幕から快音が響いた。西武時代に数々の好成績を残してきた秋山翔吾だけに、今もなお球界屈指の好打者という印象は強い。事実、今季は一時、驚異の打率.485をマークするなど、4月27日現在、リーグ2位の.392。これに対して、好調の要因について迫ろうとすると、その前提にある言葉への違和感からインタビューは始まった。

「調子がいい」という言葉は、自分ではあまり使わないんですよね。調子がいいから打っているとか、調子が悪いからダメとか、言葉にするとそうなんですけど、何か外的要因でそうなっているような感じがして。悪きゃ悪いなりにやるし、良かったら良かったで、それが続くようにやっているつもり。まあ、4割近い数字が出ていれば、周りの方が「調子がいい」と言ってくださるのは分かるんですけど、それに対して自分自身が「そうなんです。調子がいいんです」とはならないし、口に出さないようにはしています。

 そもそも「調子」って何なのかな、とも思うんですよね。何をもって調子というのか。体調とは違う。体調が良くても打てない日もあるし、あまり乗らないな、しんどいなというときでも打てる日はありますから。「調子がいい」と言われると、そういうことを考えてしまうんです。

 僕としてはもちろん、今の数字がキープできるなんてまったく思っていない。それをどうやって打席数を固めながら、なるべく高いところでキープできるか、上げていけるか。それでも今季は、いい感覚で打てている打席、自分のやりたいことができている打席が割と多いから、結果が出ているんだろうなとは思います。

 成績が残っていることに関して、自分の中では何となく根拠もあるし、ボールの見え方がいいとか、(打席での)立ち方がいいとか、そういうことは説明できなくはないんです。ただ、言葉にすると、そこへの意識が固まっていくような感じがして、良くも悪くも。無意識にやれていることが意識的になると、相手ピッチャーのタイミングを取るとかが少しおろそかになったりして、自分の打ち方が一番大事になってしまう。練習でそうなる分にはいいんですけど、試合でそうなると“ハマって”しまう。われながら、なかなかめんどくさい性格をしているなって思いますよ(苦笑)。

 言葉って難しいですよね。人に聞くタイミングとか、誰かに何かを教えるという立場になったときにも大事だなというのは、この年齢になってきて、自主トレとかにも若い選手が来るようになって、感じるようになってきました。時には決めつけのように、「こうなっているから、こうだよ」と言うのが大事なときもあるんですよ。自分の気づいていないことに気づける。そういう意味では今年、僕自身が体験したこともあったんです。

 開幕前に新井さん(新井貴浩、監督)から掛けていただいた言葉でした。僕、オープン戦で思ったような結果が出ていなくて(※15試合で11安打、打率.239)。そのときに練習で新井さんから・・・

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