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オリックス・頓宮裕真インタビュー “欲”を捨てさり「いかに自分のスイングができるかが勝負なんです」

 

視線の先には常に“次”がある。昨日の自分を胸に刻み、前に進む中で得たシンプルな考えが、好循環を生んだ。パ・リーグのトップの打率で前半戦を折り返した打撃好調の理由を探ると、見えてくるのは自然体──。欲を捨てた男は強く、そして輝き続ける。
取材・構成=鶴田成秀 写真=宮原和也

オリックス頓宮裕真[捕手/5年目]


心のバランスも大事に


 メンタルスポーツとも呼ばれるだけに、些細な心の変化は技術にも反映される。「しっくりする構え」「自分のスイングを」と何度も口にする背番号44もまた、心のバランスにも目を向ける。“好調維持”へ、前半戦の好結果に慢心はない。

──1年目から試合後につけているノートは、今も継続していますか。

頓宮 キャンプから毎日、つけています。ノートというか、スケジュール帳みたいなヤツに、気が付いたこと、感じたことを箇条書きしている程度ですが。調子が悪くなったとき、構えがしっくりこないときに、状態が良かった時期に書いたことを見返すことで、意識的に取り組めることが増えていくので。

──自分の状態と照らし合わせながら調整の一環というわけですね。

頓宮 はい。でも、1、2年目とは書く内容も変わってきました。1、2年目は初めて対戦するピッチャーばかりだったので、相手ピッチャーの特徴などを書き留めておくことが多かったんですけど、今年で5年目になり、自分の打撃技術に関することが増えたんです。

──前半戦を終えて打率リーグトップの好調ぶりは、ノートも一因と言えますか。

頓宮 それだけではないですけど、やっぱり構えがしっくりこないとき、体重が(投手方向か捕手方向かの)どっちに乗っているかなど、映像を見返しつつ、ノートもチェックしているのは大きいのかな、と。構えのときに、膝が曲がり過ぎていれば、上下運動をすることを意識したり、本当に何ミリ単位の世界なんですけど、そういう微妙な感覚を大事にしているので。『体重の乗せ方』をノートに書くことも多かったですし。構えのときに右(捕手方向)に体重を乗せ過ぎないほうがしっくりきている感覚もあるんです。

──6月は打率.372、7本塁打で月間MVPを受賞。これも体重の乗せ方を意識した結果でもあるのでしょうか。

頓宮 結果が良かったのは、打席に立ったときの感覚が良かったからなんだと思います。なぜ打てたのか、自分でも分からないときがあるんですけど、そういうときって、やっぱり徐々に打てなくなるんですよ。だから、感覚を大事にしつつ、一番意識しているのが『自分のスイング』をすること。バットがスムーズに出て、強く振ることができれば、結果はついてくると思うので。『自分のスイング』をするために、始動段階の構えを大事にしているという感じです。

──自然体の構えがスイングをスムーズにするわけですね。

頓宮 はい。そうなると、タイミングも合ってくる。体重移動がしっくりこないと・・・

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