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ソフトバンク・有原航平インタビュー 切り替えて次に行く「1イニングでも長く。とにかく今は、本当にそこだけ」

 

ヒーローは遅れてやってくる! チーム事情による一軍昇格も、いい意味で予想を裏切る試合運びを見せ、気がつけばチームで一番、計算が立つ投手に。移籍してきたからこそのチームに対する思い。冷静な表情の裏に、しっかりと熱さを秘め、マウンドで自らの役割を全うしていく。
取材・構成=菅原梨恵 写真=橋田ダワー、BBM


自分のための時間


 7月25日の京セラドーム。この日の球場の雰囲気は異様だった。チームは54年ぶりとなる12連敗中――。それぞれに勝つことの難しさを感じていた中で、マウンドに上がった有原航平は、これまで以上に気迫のこもった投球を披露する。「今日は最後までいくつもりでマウンドに上がった。最初から思っていた」。有言実行の115球、移籍後初となる完封勝利で、チームは救われた。新天地で救世主となった右腕は、インタビューの冒頭、まずは前半戦を振り返ってくれた。

――前半戦の自己採点をするなら何点になりますか。

有原 50点ですね。やっぱり最初から一軍で投げられませんでしたから。上がってきたのが6月だったので、実質2カ月は二軍。そこがやっぱり、悔しいというか、チームに貢献できていなかったなと。それを考えての50点ですかね。

――では、一軍に上がってきてからとなると、もう少し点数も。

有原 それだと……いや、でも、70点ぐらいかなと思います。

――2021年シーズンからメジャー・リーグでプレーをして、今回、日本球界に復帰するというタイミングで、ホークスを選びました。まず日本に帰ってくる決断、そしてホークスに入団する決断をした際に、一番の決め手になったところは何だったのでしょうか。

有原 一番の決め手は、とにかく先発がしたかったので、そこを第一に考えました。それでいろいろと考えたときに、自分が一番成長できるなと思ったのが、ここだった。環境もそうですし、チームの選手のこととか、いろいろと中のことも聞いたりして、その説明を聞いた上で「今の自分に一番合っているな」と思ったので。メジャーに行くときもそうでしたけど、自分が一番成長できる場所というところでの決断です。

――先ほど開幕から約2カ月間は二軍で、という話がありました。入団するにあたっては、即戦力で、すぐに一軍の戦力として、という気持ちが強かったと思います。開幕が二軍スタートというのは、自身としても“想定外”だったのではないのかなと思うのですが。

有原 想定外、そうですね。もちろん開幕から一軍で投げたかったですが、それを決めるのは僕ではないので。二軍スタートが決まったときから、1日でも早く上に上がって投げることしか考えていませんでした。

――当時、自身の中では何が一番の課題だったのでしょうか。

有原 オープン戦で登板した際も、全体的にスピードも今と比べたら出ていなかったですし、制球の面でも不安定な部分がありました。

――それはやはり、アメリカと日本の違いみたいなところもあったり?

有原 違いと言っても、もともと(日本で)やっていたわけですしね。ボールがちょっと違うというのはありますが、日本からアメリカに行くようなボールの変化ではないので。細かい微調整の部分。オープン戦でしっかりと、ビシッと抑えることは確かにできてなかったので、それは仕方がないというか(苦笑)。なので、そこは切り替えて。早く一軍で活躍するためにやるしかない。その中でしっかり、やるべきことはできたと思います。

――二軍でも打たれたり、数字的なところでも、結果が出ない登板が続きました。自身に対して、もどかしさを感じた部分もあったのではないかと想像しますが。

有原 そうでしたね。でも、とにかく早く一軍で投げたいということしか思っていなかったので。もちろん・・・

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