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THE HEROES 熱球インタビュー

西武・山田陽翔インタビュー 自分のスタイルを貫いて「どんな状況でも点は取られたくない」

 

高卒3年目右腕がリリーフで躍動している。今季は15試合に登板して1勝0敗5ホールド。15回1/3を投げまだ失点を許していない。強力投手陣の中で、背番号36がまばゆいばかりの光を放っている。
※成績・情報は5月30日現在
取材・構成=小林光男 写真=大泉謙也、桜井ひとし、兼村竜介
※5月31日に初失点を許した



打者が気持ち悪そうな反応


 近江高では甲子園に3度出場し、計15試合を戦って歴代5位タイの通算11勝をマークした。打者としての評価も高かったが、プロでは投手で勝負することを決意。だが2023年にドラフト5位に西武で入団したが、プロの世界は厳しかった。もがき、悩みながらも生き抜く道を模索し続けた。

――プロ野球人生の転機はいつでしたか。

山田 1年目に真っすぐの球速も良い感じで上がっていったんです。149キロまで達しましたね。でも、環境に慣れることや試合を重ねる中でトレーニングを続けることで疲労もたまっていって。さらに「もっといいボールを投げたい」「もっといいところに投げたい」と、いろいろなことを求め過ぎてしまってフォームを崩したんです。右の内転筋も痛めてしまいましたし、まずは自分のフォーム探しに苦労しました。

――2年目に森脇亮介投手とキャッチボールを行っている際、ヒントを得てフォームの改造をしたそうですね。

山田 そのときはゆっくり足を上げるのではなくて、ほぼクイック的な感じで投げていました。投げ急がないように間(ま)が欲しくて。森脇さんのフォームを取り入れて、全体的にバランスが良くなり、制球力が上がりましたね。

――ボールに力がきちんと伝わっているように感じます。

山田 技術的なことを言うと、それまでは投げにいくときに体が沈み込んでしまっていたんです。軸足が折れていたことが原因。それではマウンドの傾斜に反した体の動きになり、ボールが高めにしか行かない。だから、軸足を曲げずに伸ばすことで傾斜に沿って投げるようにしました。下がっていく傾斜を利用して勢いを効率よくリリースの瞬間に伝達できるフォームにして、いまのところしっくり来ています。あとは筋量を増やすなど、ほかのところで補って、もっといいボールを投げられるようにしていきたいです。

――2年目のシーズン中盤には先発から中継ぎに転向しました。

山田 ポジション変更となって、調整方法も変わります。一番苦労したのはウエート・トレーニングを行うタイミング。中継ぎはいつ投げるか分からないですから。最初は筋肉痛を抱えながらマウンドに上がっていましたけど、とにかく慣れていくしかありませんでした。

――シュートの習得も大きかったそうですね。

山田 フォームを変えたときと同じくらいの時期から練習を始めました。実戦で投げるようになったのは、オフのウインター・リーグからです。それまでツーシームを投げていたんですけど、シンカー気味に変化して落ちるので。右打者の内角に速いスピードで横に曲がる変化球がなかったんです。投球の幅が広がりましたね。右打者にも左打者にも使えて、カウントも取れますから。

――カットボール、スライダー、さらにフォークもあり左右、上下で勝負するピッチングスタイルが確立されましたね。

山田 いま一軍で投げていて打者の反応を見ていると・・・

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