強力なリリーフ陣に、もう一枚強烈な光を放つ左腕が加わった。67試合を消化し首位を守る阪神で、30試合に登板し、防御率0.61という驚異的な数字をたたき出している。今リリーフで一番頼りになる男だ。 ※成績・情報は6月19日現在
取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也、牛島寿人 見直した投球フォーム
この男がマウンドに上がるだけで安心感がチーム全体に漂う。そこには信頼の空気が流れる。実際にライバルチームの強打者たちを手玉に取ってイニングを終わらせ、勝ちの流れを逃がさない。安定した投球フォームでキレのあるボールを投げ込む姿は貫録さえある。 ──5月27日の
DeNA戦(倉敷)の8回、
オースティン選手への2ボール1ストライクからのスライダー2つ。空振りを取ったボールと、最後の空振り三振となったスライダー。どちらが及川投手としては、いい感覚で投げられたのでしょうか。
及川 説明するのが難しい部分はありますが、同じスライダーでも、意識が違ったので、どっちが良かったというのはないです。両方ともその意識のまま投げられたいいボールだったと思います。
──2球とも「このスライダーどう打てばヒットになるのかな?」と思ってしまうすごい曲がり幅で、コースに決まっていました。
及川 いえいえ(笑)、ありがとうございます。去年、スライダーが良くなかったんです。カットボールを投げ始めたことで、少し何かがズレてしまっていました。2024年のオフ、自分のフォームを見直していこうと思い、11月の秋季キャンプでは真っすぐとスライダーのみを投げ込みました。
──真っすぐとスライダーだけとは、何か意図があるのでしょうか。
及川 ツーシーム、カットボール、カーブも投げるのですが、僕のピッチングの中でこの2つが軸です。去年、この2つがよくなかったので、まずそこをどうにかしないといけないな、と考えました。そこがしっかりと磨けたからこその今年の投球になっているとは思います。
──投球フォームを変えたのでしょうか。それとも見直したのでしょうか。
及川 見直したという表現が合っていると思います。投げ始めのときに右肩がグッと入る感じで構えます。というのも、投げ始めていく中で、右肩が入り過ぎていた部分があったんです。それをセットポジションのときに最初から入れてから投げるようにしました。それでもいいときと悪いときがありました。それをさらに秋季キャンプで(
藤川球児)監督に修正してもらいました。
──それでしっかり自分のものになっていったのですね。
及川 そのあと、あらためて去年の映像と・・・
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