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2021プロ野球総決算号 井端弘和 野球の“極意"

井端弘和コラム 番外編「大崩れしなかったヤクルトオリックスは“2本目”の柱」

 

井端弘和 野球の“極意”』が特別編として登場。セ・パの2021年シーズンを総括しつつ、22年シーズンのペナントレースの行方を占います。

日本シリーズではMVPを獲得したヤクルトの捕手・中村悠平。ポテンシャルはあるものの、前評判の高くはなかった投手陣を引っ張った[写真右]


【セ・リーグ編】2つの大型連勝がカギ握ったヤクルト


 セ・リーグはルーキーの働きが与えた影響を無視することはできません。阪神では前半戦首位の立役者となった佐藤輝明(24本塁打)、30盗塁で盗塁王に輝いた中野拓夢、左腕の伊藤将司はチーム2位タイの10勝を挙げました。DeNAには数々の新人記録を塗り替え、最終的にセ3位の打率.314を打った牧秀悟、そして広島には個人的にMIPに推した栗林良吏です。新人王争いも盛り上がりましたが、栗林の受賞は当然でしょう。

 ここからは各球団の今季を振り返りつつ、来季への展望も併せて解説していきたいと思います。まず、新人3人が頑張った阪神ですが、開幕直後はスタートダッシュに成功しました。しかし、交流戦終了の6月16日時点では2位に7ゲーム差をつけながらも、前半戦の貯金15に対し、後半戦は6。上積みすることができませんでした。とはいえ、前、後半ともに5割以上の勝率を残しているのですから、ヤクルトの勢いがそれ以上だったということです。打線では前半戦20本塁打の佐藤が大失速も新人に多くを期待してはいけません。サンズ、マルテ、大山悠輔と成績を落としたことが響きました。彼ら中軸が機能しないことには、最多安打(178)の近本光司と中野が好機を作っても、勝利にはつながりません。2ケタ勝利が3人(青柳晃洋=13勝、秋山拓己=10勝、伊藤)いますが、西勇輝の6勝も響いた。最終的にゲーム差はゼロなわけですからね。来季はスアレス退団で岩崎優との8&9回コンビが解消されます。リーグNO.1のストロングポイントを失うのですから、穴埋め次第でBクラスもあり得ます。

 巨人は投手力でしょう。9月に入った時点では首位も、9&10月で10勝25敗8分の大失速です。最大の敗因は中4〜5日の投手起用。良い投手の間隔を詰める作戦が裏目に出ました。中6日に戻すことも1つの策でしたが、それを可能にするだけのコマが不足していたのであれば、仕方がありません。ただ、当然、中継ぎ陣にしわ寄せが来る。悪循環は否めませんでした。しかし、この経験は大きく、来季は中4、5日で順応するかもしれない。前半だけで9勝の高橋優貴(11勝)、8勝の戸郷翔征(9勝)は、後半、バテましたが、経験値としては大きく、若い2人の飛躍がカギです。

 優勝したヤクルトは前半戦を終えた時点で、バランスの良いチームと感じていました。攻撃陣については語るまでもないでしょう。2年連続最下位からのVは投手陣。優勝を争う中で、実力以上の力を出した。2つの大型連勝は、「俺で止められない」の相乗効果も生みました。後半には奥川恭伸高橋奎二ら、若い選手が出てきた。ただ、あのボールは優勝争いの中だからこそ。シーズン通して投げられるか? そうなれば完全なるエースです。また奥川は登板間隔の問題もありますね。さすがに石川雅規もフルでは無理。もう1〜2人、イキの良い若手が出てきてほしい。連覇のカギはローテでしょう。

 Bクラスの3チームに目を移すと、広島は早い段階で小園海斗林晃汰を抜擢。宇草孔基なども積極起用していた。若手に切り替えての3位肉薄は来年につながります。投手陣もそう。鈴木誠也の代役助っ人が、大きく左右しますが、西川龍馬がいい加減、突き抜けた成績を残すことも条件になると思います。

 中日は投手は良かったと言われますが・・・

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井端弘和 野球の“極意”

井端弘和 野球の“極意”

中日・巨人で活躍した名手がプロの技術・判断などについて深く掘り下げるコラム!

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