右ヒジのクリーニング手術から復帰した右腕のコラムが再開だ。多彩な変化球を操るオリックスの右腕が、各球種の握りや投げ方、そして配球を含めた実戦での使い方など“変化球の極意”を明かしていく。再開1回目となる第8回は連載期間も空いたため、まずは復習から。変化球を覚える意味と狙いを、あらためて説明する。 変化球を投げる理由
昨年は途中で離脱してしまい、個人としては悔しいシーズンになりましたが、チームが優勝できたことには、素直に喜びを感じた1年。とはいえ、2020年も故障で離脱してしまったので、今年は2年分の借りを返したい。そう思いながら、全力で頑張っていきます。
このコラムも休載していましたが、今回から不定期として再開させていただきます。期間も空いてしまったので、初めて読んでくださる方もいると思います。なので、まずはあらためて僕の変化球に対しての考えを書かせていただきます。ただ、これが正解とは限りません。プロ野球を観戦して駆け引きを楽しんでいる方、これから変化球を覚えたい方、またバッターとしてピッチャーの考えを知りたい方たちの、1つのヒントにしてもらえればうれしいです。
そもそも、皆さんは、なぜピッチャーが変化球を投げると思いますか?
僕の答えは「打者を打ち取るため」。バットに当たらないほどのストレートを投げられるのであれば、それで十分。真っすぐだけでアウトを奪えるのなら、変化球を覚える必要なんてないんです。僕が変化球を覚える、投げる、そして試合で使う上で根底にあるのがこの考え。バッターを抑えるために変化球を投げているんです。僕自身、真剣に変化球に取り組み始めたのは瀬戸内高校に入ってから。ストレートが速いわけでもなく、カーブで空振りが奪えるわけでもない。そんな中で、どうすれば打者を抑えられるのか──。そう考えるようになっていったんです。
そこで出た答えが球種を増やすこと。先輩に変化球の握りを教わり、試行錯誤を繰り返す中で、あるテレビ番組を目にしました。放送されていたのは、
ダルビッシュ有さん(パドレス。以下・ダルさん)の特集で、スライダーの投げ方を明かしていたんです。握りを見てマネして、投げ方を参考に練習して覚えたのが、今のタテのスライダー。これを覚えたことで・・・
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