週刊ベースボールONLINE

打者を封じる思考力 山岡泰輔の変化球ノート

山岡泰輔コラム 第13回 シュート&ツーシームの使い方「曲がりが小さくても、バッターは『シュートがある』と思う。それで十分なんです」

 

【ツーシームの握り】【シュートの握り】

ポイント◎シュートは親指の位置も真っすぐと同じでOKです。横に置けば、回転軸がより横になり、スピードも落ちるので、沈んで曲がるツーシームとなります


 ほかの球種と、どのように交え、コースや高低を使っていくか。こうした配球もピッチングの面白さなのは、このコラムでも書き続けてきたことです。もちろん、前回(8月1日号)紹介したツーシーム、シュートも同じこと。使い方次第で自分の投球を助ける球種となります。特に見せ球、カウント球としては有効で、変化量によってはバットに当たる確率が高くなるため、決め球にはなりにくいかもしれませんが、反対に1球で仕留めることができるボールでもあるんです。ただし、意図して使わなければ、効力は得られません。バッターのタイプや傾向、さらにほかの球種やコース・高低などを使い分けることで、1つの球種の意味は増していきます。では、どのように使えば、より有効な球種となるのか。僕なりの考えを紹介しますので、参考にしてみてください。

内角球にも選択肢


 まずは僕がシュートとツーシームを覚えた理由を説明しましょう。簡単に言えば「スライダーやカットボールなど右バッターの外角に逃げていく球種は持っていたけど、内角のほうへ曲がる球種がなかった」から。もっと詳しく言えば、変化する方向を求めたのではなく、右打者に対して内角球を投じる中で、「相手の選択肢を増やしたかった」からなんです。

 内角球にスライダーやカットボールを投じることは多くありません。となると、内角にボールがきた段階で「ストレート」と判断することができる。バッターは当然、踏み込んでくるわけです。だから、シュートやツーシームが必要だと思ったんですよね。体に向かって曲がっていく球種を投じることで、内角球に対して簡単には踏み込めなくなる。さらに打者が「内角」と判断しても、そこからストレートかシュート(ツーシーム)かを判断しないといけなくなるわけです。内角=ストレートの1択から、選択肢を2つ、3つと増やさせるためにも、僕はシュートとツーシームを覚えたということです。

 だから曲がり幅の大きさは求めていない。小さくても曲がれば、バッターは「シュートがある」と思う。それで十分なんです。そう思わせるだけで、迷いを与え、わずかでも判断を遅らせることができるわけですから。すると、打ち損じも出て、1球で仕留めることもできるんです。

 だから・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

山岡泰輔の変化球ノート

山岡泰輔の変化球ノート

多彩な変化球を巧みに投じる右腕が“変化球の極意”を明かしていく不定期連載コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング