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次代を担うExciting Player

ソフトバンク・井上朋也 どこまでも、自分らしく「打って打って打ちまくって、『使いたい』と思われるくらいまで打ちたい」

 

12球団屈指と言える選手層の厚さを誇るチームの中で、高卒2年目ながら先輩たちにも負けない存在感を見せる。首脳陣だけでなく王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーからも熱心な直接指導を受けて、日々進化。藤本博史監督が今春キャンプの野手MVPに選出した若鷹の進撃は、まだまだ続いていく。
取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、BBM

チーム状況もあって“抜てき”という形で今春キャンプA組[一軍]入り。持ち味を発揮して見事完走を果たした


変化を恐れずに


 育成にも力を注ぐソフトバンクにおいて、高卒1年目の主戦場は三軍。それは本来ドラフト1位選手であっても例外はないのだが、井上朋也はルーキーイヤーの昨季、二軍でも45試合に出場し、打率.246(122打数30安打)、3本塁打、11打点。一軍デビューこそ叶わなかったものの、確かな爪痕を残した。ウエスタン・リーグが終わるタイミングでインタビューした際には「あっという間」だった1年を振り返り、「走攻守全部が足りていない」と語っていた井上。しかし、それから5カ月余りで、春季キャンプをA組(一軍)で完走。藤本博史監督からは「競争の中ですごくいいものを見せてくれた」とたたえられた。すさまじいスピードで今もなお、ぐんぐんと成長している。

──春季キャンプの1カ月は、どんな1カ月でしたか。

井上 初めは純平(川原田純平 ※同期)と2人でA組に呼んでいただいて、『競争』というテーマの中で1日1日を過ごしていました。レベルが高い中での競争だったんですけど、しっかりと自分のセールスポイントである打撃面でのアピールはできたんじゃないのかなと思います。

──井上選手自身はどんなテーマを持って臨みましたか。

井上 まずは昨秋のキャンプで出た課題があったので、それをしっかり1つひとつつぶしていく。打撃に関しても昨秋から取り組んできたことをオフシーズンもずっとやってきたので、それを継続してやっていこうという感じでした。

──昨秋のキャンプで出た課題というのは具体的には?

井上 走攻守いろいろあるんですけど、1つ打撃に関して言うとしたら、バットの握り方ですね。秋のキャンプでロングティーのときに王(王貞治球団)会長(兼特別チームアドバイザー)から指導を受けたんです。右手の使い方のところで、手のひらで握るんじゃなくて、指で握るようにと。初めは違和感で、めっちゃ打ちづらかったんですけど、徐々に慣れてきて、今ではいい感覚になってきました。指で握るほうが、しっかり手首も使える。手のひらだと力が入ってしまうのか、手首がホールドされる感じなんですけど、指だといい意味で力感がなくなって、手首も柔らかく、可動域が広がるんです。

──わずかな違いに見えますが、慣れるまでは時間が掛かりましたか。

井上 それこそ最初のころは、僕、右利きで右手で箸を使ってごはんを食べるんですけど、左手で食べろって言われているくらい、感覚として全然違っていて。秋のキャンプ中は多少なりとも違和感はありましたね。ただ、意識しているうちに、オフシーズンの自主トレの途中くらいからしっくりくるようになって、今はある程度は自然に。王会長からも「よくなっている」と言っていただいたので、しっかり自信にしてやっています。

──違和感もあった中で、これまでとは違うことをやり続けるのは勇気もいることだと思います。

井上 確かに勇気がいることなんですけど、ずっと同じでも成長しないと思ったので。いろいろ試してやっていこうと。指で握るのも、本当にやってみないと分からなかったので、とりあえず継続してやってみて、今に至るという感じです。

──ほかに、昨秋に出た課題に対してどんなアプローチをしてきましたか。

井上 あとは守備のところですね。股関節が硬いって言われていて。このオフシーズン、だいぶいろいろと取り組んで柔らかくして、本当に少しだけですけどマシにはなったかなと思います。本多(本多雄一一軍内野守備走塁)コーチとかにも「柔らかくなったな」と言っていただきましたし、自分でも守備練習中などで実感できてはいます。

──ストレッチの回数を増やしたり?

井上 1回を長くやるんじゃなくて・・・

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