新たな力が明日のチームを変えていく。幕が明けた2022年シーズン。大きな希望を抱かせる期待の新鋭にスポットを当てる新連載インタビューの第1回はトミー・ジョン手術を乗り越えた23歳右腕の登場だ。客観的に自分を見つめつつ、追い求める理想の自分へ。昨季から続く成長を止めない。 取材・構成=鶴田成秀 写真=榎本郁也、BBM 理想とのズレ
トミー・ジョン手術を受けて一時は育成契約に。投げられないツラさを知っているからこそ、マウンドに上がれることは喜びだ。だからこそ、さらに進化を続け、理想と結果のズレを埋めていく。 ──手術を乗り越え、一軍デビューを果たした昨季。得たものは、自信と課題、どちらのほうが大きいですか。
山崎 自信です。一軍で投げられたこと自体が自信になりました。ただ、今年は「投げられる」だけではダメだということは分かっているので、自分の中でしっかり目標を立てているんです。そこに向かっていくだけです。
──目標とは。
山崎 最初の目標が開幕先発ローテに入ること。それはクリアできたので、次は、まずは前半戦をしっかり先発ローテを守ることです。その延長で後半戦も。少しずつ先を見て、結果として「シーズンを完走できるように」というのが目標なんです。こう答えると、具体的な数字を聞かれるんですけどね(笑)。でも、本当に数字は意識していないんです。強いて挙げるなら10勝。先発ローテでシーズンを完走すれば、そこはやっぱり達成したい数字でもあるので。
──経験=自信となったわけですが、そんな経験を積んだことによって、オフやキャンプの取り組みや過ごし方にも変化や違いが生まれたのではないですか。
山崎 変わりました。山岡(
山岡泰輔)さんたちと一緒に、
広島で自主トレをさせていただいたんですけど、そこで新しいトレーニング方法を学んで。自分に合ったものを取り入れたんです。うまく、言葉では、どんなトレーニングか伝えられないんですけどね。
──では、新たなトレーニング法を取り入れた、理由や目的は。
山崎 体幹をもっと使って投げたかったんです。僕はまだ“頑張って投げている”感覚があるんです。だから、もっと効率よく力を発揮したいなって思って、そういう体の使い方をしたくて。そのためのトレーニングです。力感をなくすとは違うんですけどね。もっと自然体で投げながらも、力を発揮できるというような感じです。
──体幹を使えている、使えていないは、傍からでは分からない部分ではあります。
山崎 いや、僕もまだ全然、使えていないんです。それに、トレーニングをやったからといって、すぐに効果が出るものでもないと思っているんです。1年では無理というか、継続してやって2年、3年先に効果が出るのかなって。だから、今年だけを考えての取り組みでないんですよね。
──先を見て、と。ただ、キャンプはシーズンに向けた調整に移ったと思います。
山崎 はい。キャンプでは出力を発揮できるようにしようと思っていたんです。昨年はなかなかスピードが出ないときもあったので。スピードがすべてではないのですが、自分の状態が分かるのがスピードだと思うので。
──調子のバロメーターは真っすぐ、と。
山崎 はい。スピードもそうですが、ファウルが取れる真っすぐ、前に飛ばない真っすぐを投げているときが、やっぱり調子が良いときなんですよね。それって、対打者じゃないと分からないこと。だから、キャンプではまずブルペンで出力を上げて、バッターがどう感じているのかを確かめてきました。
──投球の軸は真っすぐ、と。“本格派”という表現がありますが、自らの投球スタイルは、その表現であっていますか。
山崎 どうだろう……。僕は・・・
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