トミー・ジョン手術を受けながら、ドラフト2位指名でプロの世界に飛び込んだ。待っていたのは長く厳しいリハビリ生活。だが復活を果たした今季、開幕先発ローテの座をつかみ、プロ初勝利もマーク。ここから逆襲の日々が始まる。 取材・構成=杉浦多夢 写真=大泉謙也、BBM 初勝利への道程
長く苦しい時を乗り越えてプロ初勝利へとたどり着いた。2020年6月に右ヒジのトミー・ジョン手術を受けながら秋のドラフトで2位指名されたのは、高いポテンシャルへの評価ゆえ。1年目の昨季は公式戦のマウンドに上がることなく、長いリハビリ生活の末にようやく復活を果たした。開幕先発ローテに名を連ねると、4月28日のDeNA戦(横浜)では3度目の先発にして初勝利。プロとしての第一歩を踏み出した。 ──初勝利の味はいかがでしたか。
山崎 それまでに2度、先発させていただいたのですが、思ったようなピッチングをすることができなかったんです。そこから間隔を空けてもらい、その間に一度ファームに行っていい時間を使うことができました。甲子園でリリーフとして投げたときに(4月16日、
阪神戦)感覚をつかむことができて、初勝利につながりました。いろいろな人に支えてもらいながらの初勝利だったので、自分としてはすごく長かったんですけど、すごくうれしいことでした。
──リリーフ登板した阪神戦から初勝利のDeNA戦までも中11日でした。最初の2度の先発以降、どのような点を修正してきたのでしょうか。
山崎 投げているボール自体の力がまったくなくて。今までは強いボールが投げられていたのに、全然強いボールがいかずにちょっとしんどいというか。その中で抑えないといけないということで、いっぱいいっぱいになってしまっていました。そこから高梨(
高梨雄平)さんや畠(
畠世周)さんに「いいときはもうちょっとこうだったよ」という話をしていただいて。ファームでは昨年のリハビリのときから見てもらっているトレーナーさんとかに「自分としてはこういう感覚で、こういうアドバイスをしてもらった」ということを伝えて修正していきました。投球フォームのずれが、キャンプのときから少しずつ大きくなってしまっていたのだと思います。
──投球フォームのずれとは。
山崎 体を回すときに、腕が外を回ってしまっていたのですが、もっと内からひゅっと回らなければいけない。腕が遠回りすることで力が逃げてしまっていたのだと思います。昨年からリハビリを一緒にやってもらっていた寛さん(
大竹寛巡回トレーニング統括補佐)にも見ていただいて、「もっと腕を小さくたたんでひゅっと出ていたのに、すごく遠くに走っているよ」と言われたので。遠投とかで修正しながら、トレーニングやコンディショニングのメニューもつくってもらって取り組んできました。
──初勝利を挙げた試合のピッチングは手応えがありましたか。
山崎 前の先発した2試合に比べてストレートが走っていました。やはり最初の2試合は投球フォームが少しずれた状態で投げていたので、ボールがいかない分、いつも以上に力を入れてしまっていた。球数が増えるとさらにボールがいかなくなってしまっていました。この試合では球数が増えてもがくんと球速が落ちることもなかったですし、短い時間だったのですが、よく状態を上げることができたと思います。
──実質1年目ですが、ファームでの調整も含めてシーズンの過ごし方には慣れてきましたか。
山崎 最初は中6日で回れるかなという感じだったのですが、やはりいろいろしんどくて。賢慎(
堀田賢慎)と僕はもっと間隔を空けるとか、いろいろな話があるので、何とかそこに対応しようとしているところです。
──それでも昨年1年間を含め、手術を受けてからの日々を思うとやはり今は充実しているでしょうか。
山崎 そうですね。昨年はいろいろとしんどい部分が多かったので。1年前の自分を思うと・・・
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