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NEW WAVE INTERVIEW 新時代の主役たち

巨人・井上温大インタビュー 新世代の旗手となる「(プロ初勝利で)やっと『プロ野球選手になれたな』と思うことができた」

 

左肘の手術から復活し、プロ初勝利をマークした昨季。侍相手に自信を深め、飛躍のきっかけをつかんだ。指揮官もその成長に目を細める高卒4年目のサウスポーは、リーグ4位からの巻き返しを誓うチームにとっても、起爆剤となっていく可能性を秘めている。
取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、川口洋邦、BBM


侍相手に得た自信


 高卒2年目の2021年にはイースタン・リーグの開幕投手に抜てきされるなど、飛躍を期待されながら、左肘の手術によって回り道を余儀なくされた。育成からの再スタートとなった昨季、しっかりと成長の跡を見せ、7月に支配下に復帰。一軍で4度目の先発にしてプロ初勝利をマークすると、11月6日の侍ジャパンとの強化試合(東京ドーム)では先発の機会を与えられ、3回4奪三振無失点の快投。自信を深めた若武者は宮崎秋季キャンプでもブルペンでキレのあるボールを投げ込み、原辰徳監督から「一つランクが上がった。エース格と戦える選手になる」と賛辞を受けた。若手投手がひしめくチームにあって、新世代の旗手として先頭に立つ可能性を秘めたサウスポーに、春季キャンプ真っただ中の2月中旬に話を聞いた。

──春季キャンプの序盤では原辰徳監督が期待しているというコメントをしていました。どう感じましたか。

井上 すごくうれしいですし、自信にもなるので、いい方向にとらえてやっていきたいと思います。自分のやるべきことをやった結果として、開幕先発ローテーションに入ることができたらいいなと思っています。

──ここまで苦労も多かったと思います。2年目の2021年には左肘頭骨折で左肘頭スクリュー挿入術を受けました。

井上 完全に痛めてしまった試合の2週間くらい前から少し痛みを感じていたんです。ただ投げることはできていたのでそのまま投げていたんですけど、その試合で一気に大きな痛みがきて。もう投げられないと思い、コーチに伝えました。

──リハビリ期間はつらい時期だったと思います。

井上 年齢の近い選手たちが一軍で活躍しているのをテレビで見ていて、やっぱり悔しかったですし、その思いを力に変えて、と思いながらリハビリをしていました。だから気持ち的に沈むときもありましたけど、前向きに取り組むことができていたと思います。同じようにリハビリをしていた山崎伊織さんや、同級生の堀田賢慎がいたので、気持ちが和らぐというか。やっぱり1人だときつかったと思うんですけど、お互いに支え合いながらやれたかなと思います。

──リハビリ期間中に限らず同年代の投手、特に堀田投手の存在というのは刺激になりますか。

井上 賢慎も刺激になりますし、野手でもそうです。賢慎とはライバルというようなバチバチしたものはないんですけど、賢慎が抑えたら、自分も抑えたいと思いますし、そういうところは意識してやっています。

──22年は育成からの再出発でしたが、7月に支配下復帰を勝ち取り、プロ初勝利もマークしました。

井上 やっぱり初勝利の試合が一番印象に残っています。プロに入ってから目指していたところですし、やっと「プロ野球選手になれたな」と思うことができました。いろいろお世話になった人たちからも、いろいろな言葉をいただいたので、「やってきてよかったな」と思えましたし、本当にうれしかったですね。苦労が報われたと同時に、ここがスタートラインだという感覚でした。

──オフの11月には侍ジャパンとの強化試合で先発を任され、3回4奪三振無失点の好投を見せました。

井上 本当に抑えられるとは思っていなくて、「当たって砕けろ」という感じで投げたんですけど・・・

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