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NEW WAVE INTERVIEW 新時代の主役たち

オリックス・曽谷龍平インタビュー 武器を支える心意気「マウンドに上がる以上は『自分が上だ』と思って──」

 

昨日の経験は明日の自分を強くする。ルーキーイヤーの昨季を経て、マウンド上での心得を思い出した。打てるものなら、打ってみろ──。ノビのある直球と鋭いスライダーをより生かす“心の強さ”は、マウンド上の鋭い眼光が物語る。開幕先発ローテ入りへ。猛アピールを続ける23歳の胸の内は静かに燃えている。
取材・構成=鶴田成秀 写真=太田裕史


技術と連動する心


 気の持ちようが、自らの投球を再認識させた。スリークオーター気味の腕の振りから、最速152キロの直球は力強く、横滑りするスライダーにカーブ、フォークも交えて勝負。2年目左腕は先発ローテ入りが期待される中で、自らの武器をしっかり理解しているのは昨季の経験があってこそだ。磨くべきボール、勝負に挑む自分の姿を静かに語る姿に、心をコントロールする重要性もにじみ出る。

──間もなく2年目が幕を明けます。新人年の昨年と比べれば『開幕』という二文字の重みを感じているのでは。

曽谷 もちろんです。1年目だった昨年よりも開幕一軍、開幕先発ローテに入ることができるチャンスがあると思っていますから。開幕ローテに入るという気持ちは、昨年と比になりません。

──その気持ちはオフから持っていたことだと思いますが、開幕先発ローテ入りのために重きを置いたことは何でしょう。

曽谷 まず、自分自身を客観的に見返して。僕はコントロールが良いほうではないと思うんです。だから制球力で勝負するというよりも、キレであったり、ホームベース上に、ストライクゾーンにどんどん投げ込んでいって勝負していく。そういうピッチャーだとあらためて思ったんです。だから、オフはキャンプインや長いシーズンを戦い抜ける体をつくりつつも、体を大きくするというより本当にキレのあるボールを投げられるようにしていこう、と。「これをしました」と1つではなくて、いろんなことをやってきた中で、『キレ』『ゾーンで勝負』の思いは忘れずにやってきました。

──どこか『考え過ぎない』を意識しているようにも聞こえます。

曽谷 それもあります。でも、それは試合のときだけ、マウンドに上がったあとのことです。もちろん練習のときは、いろいろ考えていますよ。本当にいろいろ考えて練習していますけど、分かりやすいのはピッチング。ブルペンではコース、高低を意識して、しっかり狙って投げ込む。状況やバッターなども想定したりして、いろいろ考えて投げます。でも、試合になったら『必要最低限の考え』だけというか、深く考え過ぎずにベース上に投げ込んで勝負していくということ。練習でできないことは試合でできないからこそ、練習はしっかり考えますけど、考え過ぎると、練習でできたことを発揮することもできないのかなって。最初に言ったように、自分を客観視して『僕はコントロールで勝負するタイプのピッチャーではない』と、あらためて思ったことも大きいですし。

──1年目から一軍で7度の先発を含めて10試合の登板を経験し、『制球よりもキレ』を再認識したのは、結果と内容では、どちらのほうが大きいですか。

曽谷 内容です。一軍の舞台で投げさせていただき、自分自身のピッチングを振り返って感じたんですよね。ムダなボールが多いし、簡単にフォアボールで歩かせてしまっているなって。バッターと勝負する以前に自分で自分を苦しくしてピンチをつくっていたんです。自分でもそう思っていたときに、コーチ陣にも、同じことを言われました。「とにかくゾーンで勝負しよう」と。そう言っていただいたことで、あらためて理解できたというか。そうだよなって、すごく自分自身でも納得できたことだったんです。

──ただ、マウンドでは『抑えたい』の思いが強くなるのは当然のことだけに、『コースを意識する』という思いを消すことは難しい部分でもあると思います。

曽谷 そうなんですよね。分かっているんですけど、打たれたくない、抑えたいと思ってしまう。だから、慎重になり過ぎてしまうというか。逃げているわけじゃないんですけど、丁寧になり過ぎてしまうというか。その結果がムダなボールやフォアボールにつながったのかなって。

──では、どのようにしてマウンド上で『心のコントロール』をするのでしょう。

曽谷 考え過ぎず『ゾーンで勝負』と言っても、もちろんコースを狙って投げます。狙いますけど・・・

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