週刊ベースボールONLINE

生中生無 死中生有

佐藤道郎コラム 第5回「俺はこうやってサボりました」

 

兼任監督1年目の野村監督。ベテランへの遠慮もあったようだ


完璧には抑えられない


 ピッチャーってね、1人じゃ勝てないんだ。野手に打っていただいて、守っていただいて、やっと勝てる。考えてみてよ。確かに0点に抑えれば負けないかもしれない。でも、0点に抑えるだけじゃ勝てないでしょ。

 それが若いピッチャーには分からない。俺自身もそうだったしね。味方が打てないとイライラしたり、バックがエラーしたら「エラーしやがって!」と思って顔に出たりする。それじゃ、お互いよくないでしょ。分かったのはコーチになってからだったけど、そういう考え方になると、すごく楽になる。

 それに絶対、全員を完璧に抑え込む必要はないんだ。俺は抑えだったからなおさらだけど、例えば3点差があったら2点は取られていい。コーチのときはよくこう言ったよ。「お前な、3万円あったら2万円は使っていいんやで」ってね。

 全部抑えようと思うから、コースぎりぎり狙ってカウントを悪くしたり、ムキになって余計な力が入ったりで、逆に大量点になることもある。無死満塁でも3点差なら犠飛くらいいいって、マウンドで開き直ればピッチングがぐっと楽になるんだ。

 例えが面白い? 俺はコーチ時代、選手に分かるように言わなきゃ意味がないと思っていたからね。国会の答弁みたいにならんようにさ(笑)。

 そう考えると、例えば“怖い打者は誰?”という質問への答えも違ってくるんだ。場面、場面で違ってくるんだよね。別にホームランを打たれてもいい状況なら長打があるバッターでも思い切って投げられるし、そう思って投げると意外と抑えられたりする。ここは走者をためたくないな、という場面だと長打がなくても選球眼がいいヤツのほうが嫌だったりもする。大量点になることもあるしね。だからほんと場面、場面さ。

 マウンドで緊張したことはあるか? そりゃ・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

佐藤道郎コラム 生中生無 死中生有

佐藤道郎コラム 生中生無 死中生有

パ・リーグ初代セーブ王・佐藤道郎の球人履歴書。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング