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佐藤道郎コラム 第11回「楽々獲得のはずが超僅差の最優秀防御率に」

 

70年オフ、小柳ルミ子さん[右]との対談


いいリードとは


 よく「野村(野村克也)さん(南海時代兼任監督)のリードはすごかったんですか?」と聞かれる。もちろん、すごかったと思うよ。あの人は相手バッターだけ見て勝負してなかったしね。投手のいいところを引き出すリードをしてくれた。

 でも、難しいね。リードって教えられる人いないでしょ。すべて結果論だから、抑えたときしかいいリードと言ってくれない。打たれたら、どんなにキャッチャーが考え抜いて、打者の裏をかいていたとしても誰もほめてくれないからね。

 それに本当に教科書みたいなものがあるなら、ベンチから出せばいいんだよ。「1球1球、こっちを見ろ」って。でも、誰もやらないでしょ。野村さんがヤクルトの監督時代もしなかった。あれだけ、「古田(古田敦也)のリードは勉強が足らん」みたいなことを言ってもね(笑)。

 実際、すごくいいコースに決まったボールでもバッターが打つこともあるし、ど真ん中の打ち損じだってよくある。もともと3割バッターだって、7割は失敗するわけだからね。

 もっと言えば、例えばインコースに強いバッターにインコースに投げて打たれたときでも、「なんで打たれたんや、リードが悪い」と言うのは簡単。でも、ほんとはそんな単純じゃない。狙って投げたのか、たまたま行ったのかもあるし、プロは何度も対戦するから、苦手だからと言ってアウトコースばかり投げたら、いつかは踏み込まれちゃうしね。

 あとは強いところのちょっとだけ横に弱いところがあることも多いんだ。昔、9回の27のアウトをすべて1球で仕留める、要は27球で完全試合をする漫画を読んだことがあったけど・・・

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パ・リーグ初代セーブ王・佐藤道郎の球人履歴書。

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