週刊ベースボールONLINE

堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第17回「わが親友・宇佐美の思い出。ファンの皆さん1人でも多くの選手を覚え、応援してほしい」

 

筆者の親友・宇佐美。一軍登板は67年の3試合だけだった


堀内モデルを再現!


 2月2日発売の月刊ベースボールマガジン3月号『三井ゴールデン・グラブ賞半世紀』。タイトルどおり、この表彰が昨年でちょうど50回目という節目を迎えたことで組まれた特集でね、その中で面白い企画に参加させてもらったんだ。ベースボールの池田哲雄社長の発案で、現役時代に愛用していたミズノ社製「堀内モデル」のグラブを再現するというもの。

 この企画に賛同してくださったジュテル・レザー社が30年ほど前の大切に保管していたオレンジ色の革を提供してくださり、その革でミズノに残っていた「堀内モデル」の型紙で「ミズノのグラブマイスター」と呼ばれる岸本耕作さんが再現してくれるという本格的なものとなった。自宅に届いたグラブは「赤カップマーク」がないだけで、素晴らしい出来栄え。そして最後は自分の手で現役当時さながらに型を付けた。これですぐに使える。体さえ動けば、その再現グラブを持ってマウンドに立ちたいくらいだな(笑)。

 当時、俺のグラブづくりを担当してくださったのが、名人と呼ばれた坪田信義さん。坪田さんが引退するとき「これが私の作った最後のグラブです」と、堀内モデルを作って贈ってくれた。今でも大切にしている。坪田さんとの信頼関係は強い。毎年シーズンが始まる前に、ミズノの担当者が5つのグラブを持ってくる。今シーズンはどのグラブを使いますかと。5つとも坪田さんが作ったものとして持ってくるんだけど、そのうちの4つは坪田さんが作ったものじゃない(笑)。手を入れればすぐに分かる。俺が選ぶグラブは百発百中で、坪田さんが作ったものだったね。

 堀内モデルは今は少ない、ずっしりと重めのグラブ。使い手の希望と、作り手の苦労。その工程を含めて、グラブへの思いを感じる企画をぜひ、皆さんに読んでもらいたい。そして、今回の再現グラブは後日、新潟県南魚沼市にある池田記念美術館に飾ってもらえるそうなので、ぜひ現物も観てもらいたい。

 今のグラブがここまで進化したのは、俺がドジャースのべロビーチ・キャンプから買ってきたグラブをミズノの坪田さんに渡したことから始まったと言っても過言ではない。そしてその話をするとき、いつも思い出す男がいる。俺と同じ第1回ドラフト会議で巨人に入団し、ベロビーチ・キャンプに一緒に行った宇佐美敏晴だ。今日のコラムは、グラブにまつわる話の番外編として、彼について書いてみたい・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング