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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第26回「佐々木朗希で思い出した槙原寛己の完全試合。今の記録から昔の野球を振り返るのも大事だ」

 

94年に完全試合を達成した槙原


最初の印象は粗削り過ぎ?


 スポーツ報知の評論としてロッテ佐々木朗希投手を見てほしいとの依頼を受けていた。その日は、2022年4月10日のロッテ対オリックス戦(ZOZOマリン)。投げても100球か6回あたりかなと思っていたが、予想の詰めが甘かったね(笑)。回を重ねるごとに佐々木のピッチングから目が離せなくなった。真っすぐは160キロ前後。フォークはストライクゾーンから落ちる。真っすぐとフォークの組み合わせは普通「緩急」となるが、佐々木の場合は「急急」。これじゃあ、バッターはお手上げだ。

 ただ「完全試合はできないかも」と思った場面があった。ロッテの攻撃が長くなった6回。佐々木のリズムが狂うのではないかと思ったからだ。その直後の7回、オリックス先頭打者の後藤駿太にボールが3つ続いた。フォアボールはやめてくれ。しかし、嫌な予感をはねのけるように力強い真っすぐを続けて投げ、結果、右飛に打ち取った。ボールが先行してもフォアボールを怖がらず投げられることこそ、完全試合の秘訣かもしれん。リードしたルーキーのキャッチャー・松川虎生も見事だった。13連続奪三振も19奪三振も素晴らしい完全試合。史上16人目。プロ野球では28年ぶりという。

 その28年前の試合とは1994年5月18日に福岡ドームで行われた巨人広島戦で、巨人・槙原寛己が達成した記録だ。実は俺、その試合をピッチングコーチという立場でベンチから見届けていたんだ。

 槙原は81年秋に愛知県立大府高校からドラフト1位で指名され、巨人に入団。当時、藤田元司監督のもと、俺は選手兼任コーチだった。槙原の最初の印象は、非常に粗削りな感じがした。高校生から入団してくる子は、たいがいが伸びしろを持って入ってくる。だから、未完成なのは百も承知だが、それにしたって粗削り過ぎ(笑)。投げさせると・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

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「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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