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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第35回「球界屈指の守護神に成長した大勢。巨人は『勝利の方程式』を確立しろ!」

 

巨人大勢につなぐ「勝利の方程式」を確立することが重要だ


新人史上最速の20セーブ到達


 入団1年目から守護神に抜てきされた巨人のドラフト1位ルーキー、大勢の勢いが、止まるところを知らない。

 5月8日のヤクルト戦(東京ドーム)で、手痛い1敗を喫するまで14試合に登板、1勝12セーブの好成績を残した。6月4日、交流戦のロッテ戦(東京ドーム)では2対1とリードした9回にマウンドへ上がると、3人のバッターを見事に打ち取り、今季20セーブ目を挙げている。

 チーム60試合目の20セーブ到達は、新人史上最速だというから、驚きだよ。交流戦が終了した時点で、昨年日本一に輝いたヤクルトの守護神・マクガフの20セーブを上回るセ・リーグ1位の21セーブという数字を残している。だから、俺は一言「アッパレ!」と、褒めてやりたい気分だね。

 大勢のストレートは優に150キロを超える。さらにタテに大きく落ちるフォークボールが持ち味だ。投球フォームは低い姿勢から右腕が出てくるから、まるでサイドスローのような腕の振りから、落差のあるフォークをほうる。普通のピッチャーなら考えられないことだね。なぜ、そんなに低い腕の振りからフォークをほうれるのかと言えば、ボールを挟んだ右手首を立てて振り抜くことができるからだよ。

 ほかに大勢の特徴を上げれば、投球時にプレートから右足かかとを上げたまま左足を踏み出して投げにいくこと。俺がプロ入りする前の1961年から中日で2年連続30勝以上を挙げた権藤博さんの投球フォームも、同じように右足かかとを上げたまま投げるものだった。大勢に比べたら権藤さんは右腕がもっと高く上がっていたけどね。

 ただ大勢の投球フォームは、肩とヒジに大きな負担がかかる。聞くところによると、大学時代にヒジの故障を経験しているというから、少し気になる部分ではある。権藤さんもケガで投手寿命は短かった。

 故障と背中合わせのクローザーだが、大勢はまだルーキーということもあり、連投は2試合までという“ジャイアンツ・ルール”によって、休みの日が設けられている。だけど首位争いが正念場を迎えたときには、「イニングまたぎ」で使われる可能性だってあるからね。これから、夏場に入って・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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