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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第38回「絶滅種になるかもしれない200勝投手 若者よ、『記録』に残る野球人生を目指せ!」

 

円熟味の増した投球で着実に通算200勝へと近づいていく石川。200勝投手は絶滅の危機に瀕している


大卒の200勝は村山実と黒田博樹だけ


 今年42歳を迎えたベテラン左腕・石川雅規(ヤクルト)の投球術に円熟味が増している。

 6月30日の広島戦(マツダ広島)で先発して6回4安打1失点。勝利投手にはなれなかったが、3回に史上28人目の通算3000投球回を達成。ヤクルトの勝利に貢献した。今季プロ21年目を迎えた石川の通算成績は7月5日時点(記録は以下同)で181勝179敗。200勝の大台まで、あと19勝に迫っている。

 若いころならともかく、40歳を過ぎて晩年を迎えたピッチャーは、ボールも遅くなるし、間隔を空けて投げなければならないから、登板回数も少なくなる。実際にいまの石川は、10日に一度しか投げていないんだからね。

 俺は通算200勝を挙げたときに32歳だった。高卒の俺と大卒の石川とを単純比較することはできないけれど、40歳を過ぎてから200勝を目指すというのは並大抵なことではないと、あらためて感じる。

 いま日本のプロ野球を見渡すと、通算200勝に到達できそうなピッチャーは石川のほかに、ヤンキース時代を合わせて日米通算185勝の楽天田中将大しかいないというのが実情だ。

 旧制大学時代を除き、大学に4年間在籍してプロ入り後に通算200勝以上を挙げたピッチャーは、阪神の大エースだった村山実さんと、ドジャースとヤンキースでも79勝して日米通算203勝を挙げた黒田博樹のわずかに2人だけだよ。大卒だと、村山さんみたいに20勝前後の勝ち星を5回くらいマークするとか、半端じゃない勝ち方を続けないと、とてもじゃないが200勝まで到達できない。

 いま、日本を代表するエースの巨人菅野智之や、楽天の則本昂大にしても、200勝はかなり厳しい状況になってきている。今年33歳の菅野はここまで113勝61敗。6月12日の巨人との交流戦(楽天生命パーク)で今季4勝目を挙げて通算100勝とした則本は、今年32歳だ。2人とも年間で20勝をしたことが一度もない。200の大台を超えることは、おそらく不可能ではないかな。20勝投手というのも2013年に24連勝した田中を最後に途絶えてしまうことだって、十分考えられる。

 ともに楽天で153勝の涌井秀章や146勝の岸孝之も、年齢を考えればやはり難しい。石川、田中以外にいま日本で200勝を望めそうなピッチャーは1人もいないというのが現実なんだ。本当に寂しい限りだね。

 海の向こうのメジャーに目を向けると・・・

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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫の悪太郎の遺言状

「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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