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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第45回「村上宗隆の覚醒には驚くばかりだ。三冠王と本塁打世界記録を狙え!」

 

劇的な進化を見せる村上の三冠王への期待は高まるばかりだ


入団4年目に格段の進化。いまはまったく別人だよ


 男子三日会わざれば刮目して見よ、という諺(ことわざ)があるじゃないか。

 日々、鍛錬を続ける人は、3日も経つと見違えるほどに急成長している。ヤクルトの主砲・村上宗隆の変貌ぶりが、まさにそうじゃないかと、俺は思うね。

 今季プロ5年目。入団して俺が最初に見たときには、インコース高めが打てなくて、しかも悪いことにアウトコースのストライクとボールがまったく見極められなかった。右ピッチャーが投げるアウトコースをボールだと思って、平気で見逃していたんだ。さらにインハイを攻められると、詰まらされるか、空振りさせられるか。そのどちらかだったからね。

 入団1、2年目の村上を見ていたら、このバッターは「本当に大丈夫かな」と、大きな不安を覚えたものだよ。外側が見えなくて、ストライクゾーンが見分けられない。インハイとアウトローで攻めれば、簡単に打ち取れる。投げるほうとしては、最も料理しやすい相手だったわけだよ。

 さらに左ピッチャーが出てくると、外側のスライダーがまったく打てなかった。左の場合はインコースへ投げなくても、簡単に打ち取れたからね。正直言って俺は、「なんだ、このバッターは、大したものにはならないかもしれないな」と思って見ていたんだ。

 ところが、プロ4年目の昨季くらいから、積極的にバットを振るようになったし、両ヒザが柔らかく使えるようになった。下半身が柔らかくなったから、変化球を投げられても、体が前へいかずにタメができる。体がブレないから、ボールがよく見えるようになった。だから、フルスイングして、強烈な打球が打てるようになったんだね。

 わずか1、2年の間になぜ、こんなに進化したんだろうと、驚かされるほどだ。打撃の奥義というか、それまでとは違うものをつかまなければ、こんなに本塁打を量産できるようにはならない。下半身の柔らかさと、スイングの速さ。あのスイングなら、バットがボールに当たれば、どこまで飛んでいくか分からないよ。しかも、レフト、センター、ライトと、広角に打てるんだからね。まったく鬼に金棒だよ。

 今季の村上は、7月終わりから8月上旬にかけて・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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