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堀内恒夫の悪太郎の遺言状

堀内恒夫コラム 第50回「一度は巨人から見限られた内海哲也が、西武ではチームの求心力になれた理由」

 

内海は巨人のエースとして腕を振り、西武移籍後も野球に取り組む姿勢でチームに大きな影響を与えた。右は筆者


引退セレモニーを見ようと二軍選手たちが駆けつけた


 マウンドで躍動する勇姿をもう見ることはできない。そう思うと、やはり寂しい気持ちになったよ。なにせ俺が指導者としてユニフォームを着ていたときに教えた最後の選手だからね。

 3年前に巨人から西武へ移籍した内海哲也の最終登板が、9月19日にライオンズの本拠地・ベルーナドームの楽天戦で行われた。

 先発のマウンドへ上がった内海は、先頭打者の山崎剛をわずか5球でセカンドゴロに打ち取って、マウンドを降りた。

 まだ優勝が決まっていない公式戦の最中に西武球団の粋な計らいによって、内海の“打者1人の引退セレモニー”が実現したわけだよ。試合終了後に高橋由伸(元巨人監督)と俺は、グラウンドへ降りていって、それぞれ「お疲れさま」と言って花束を手渡した。

 内海は2009年から奪三振の数だけ、13年からは投球回数と同じ数のランドセルを養護施設へ寄付する社会活動を行ってきた。内海の野球振興と社会貢献のために尽くした熱意には頭が下がる思いだ。

 養護施設から巣立っていった生徒代表からも花束を贈呈されたあと、最後は西武ナインから胴上げされて、内海は19年間の現役生活に別れを告げた。

 西武の渡辺久信GMが、わざわざ俺のところへ挨拶に来てくれて、「本当に良い選手をウチは獲れたと思います」と言ってくれたんだ。俺が「あまり役に立たずに申し訳なかったね」と言うと、渡辺GMは、「いや、そんなことありません。ウチの選手たちが内海に助けられて、いろいろと教えてもらいましたから」なんて言ってたんだからさ。その言葉には、内海の人柄と野球に取り組む真摯(しんし)な姿勢が物語られていたね。

 渡辺GMの一言で、俺は内海の野球人生がまだ終わってないと確信した。現役引退した内海が指導者として、これからどのような人材を育てるか・・・

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堀内恒夫の悪太郎の一刀両断!

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「悪太郎」こと巨人V9のエース、堀内恒夫氏の連載コラム。野球人生の集大成。

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