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野村克也 追悼号 生涯一捕手から名将へ

【2006-2009 楽天監督時代】新興チームに植え付けた勝利のノウハウ監督退任後に花開く

 

09年、CS第2ステージで日本ハムに敗れた後、楽天、日本ハムの両ナインから胴上げ。そのまま楽天監督を退いた


負け犬根性が一掃され芽生えた自信


 2005年、プロ野球に半世紀ぶりに新規参入した楽天は、首位のソフトバンクに51.5ゲームもの大差をつけられ、38勝97敗1分の最下位と低迷。人気があった田尾安志監督の複数年契約を破棄してまでフロントが選んだのが、当時70歳の野村克也だった。

 06年の沖縄・久米島キャンプでは、球場のフェンスに「無形の力を養おう!」という横断幕が張られた。無形の力とは、野村が楽天時代に頻繁に口にしたフレーズ。「強い者が勝つのは当たり前。弱者が強者を倒す面白さを知ってほしい」。体力こそ衰えていたが、野村の含蓄のある言葉力はさえまくった。

「なぜ今までダメだったのか。何が足りないのか。そのためには、何かを変えなければ現状を抜けられない。まず考えろ!」

 他球団の戦力外メンバーが中心で、負けることが当たり前となっていた選手は、野村の分かりやすい勝つためのノウハウに反応した。ミーティングが頻繁に行われるようになり、野村は「ノムラの考え」と題された文書を配布。打者編、投手編、守備編などデータの生かし方や心理戦についての手引きが、実にきめ細かく記されていた。ヤクルト時代に選手、楽天でヘッドコーチを務めた橋上秀樹は「ノムラ野球は、簡単に言えば『準備野球』。本番までにいかにデータを生かした対策を練るかということ」と語った。

 就任初年度は5位・オリックスに4.5ゲーム差の最下位。それでも・・・

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