スタメン定着へ臨む2023年は、二軍キャンプでスタートを迎えた。ライバルひしめく外野の定位置争いには、遅れをとるかたちとなったが、必ずや一軍舞台に戻ってみせる。リーグ3連覇の立役者になるために──。 取材・構成=小林篤 写真=川口洋邦、BBM 役割を全うする
球春到来を告げる2月1日。山崎晃大朗の姿は二軍キャンプを張る宮崎・西都にあった。8年目を迎えた2023年シーズンは別メニュー調整で始動。最高のスタートこそ切れなかったが、開幕へ向けてオフシーズンから試行錯誤を繰り返していた。
「(昨年、打撃で)安定した成績を残せなくて。構えからすべてが自分のものにならなかったんです。最初から最後までずっとモヤモヤした感じで打席に入っていて……。練習をしていても『何か違うな』というのをずっと持ちながらシーズンを送っていました。自主トレでは新しいスイングを心掛けていました」 22年はキャリアハイの成績を残したシーズンだった。開幕直前に新型コロナに感染した影響で出遅れたものの、自己最多の118試合に出場。80試合に先発出場し、主に二番打者として起用された。しかし、違和感を抱えながらのプレーでは満足することはなかった。そこを解消できれば本来の力を示せるからだ。
「もちろんつなぐ役割であったり、相手にプレッシャーをかけるということに関しては、自分の生きる道は示せたと思います。でも成績を見たときには物足りない数字だったので、もっともっと(成績を)上げるためにはどうしたらいいかなといというふうに考えたのが、新しい打ち方への取り組みでした」 ヤクルト打線は2年連続で12球団トップの得点を挙げており、外野手も豊富なタレントがそろう。コンスタントに出場機会を得るには、バットで結果を出すしかない。約半年間で143試合を消化するペナントレース。本拠地が屋外の神宮球場となれば、コンディションを整えるのも簡単ではない。
「大松(大松尚逸、打撃)コーチからはずっと『下半身を使った縦の動き』を言われていたのですが、試合を重ねるごとに疲労が出てくると、横の力を使って回転しないとバットが出てこなくて……。それを改善するためにもっと効率のいい体の使い方はないかと考えています」 次々に課題や反省の弁が出てくるが、昨季は二番打者として66試合に先発出場を果たした。リードオフマンの
塩見泰隆と58試合で一、二番コンビを組めば、37勝21敗で勝率は6割超え。つなぎの二番打者として何ができていたのか。
「ランナー一塁での打率が3割を超えていたんです(.323)。ランナーを進めないといけない場面で、一、二塁、または一、三塁、もっと欲を言えば一気に走者をかえして1点という仕事が三、四番へつなぐベストな展開。そこについてはできていたのかなと。(22年春の)キャンプで大松コーチに『ここで打つというバットの角度を決めれば、一、二塁間へ打球は飛んでいくよ』とコツを言っていただいて、そこから引っ張る打球が増えました」 同じ左打者の
青木宣親、
川端慎吾が状況に応じて一、二塁間へ打つのを見て「自分もこういう仕事をしないといけない」と考えていた中での大松コーチからの助言・・・
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