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西武・外崎修汰インタビュー 復活の予感「本気で何かを変えなければいけない」

 

「トリプルスリー」も狙える──。2019年に打率.274、26本塁打、22盗塁をマークして、外崎修汰にかかる期待は大きく膨らんだ。しかし、翌年から一転、不調のどん底に。3年間、打撃低迷に苦しんだが、昨秋から打撃改造に取り組み、23年の背番号5には復活の予感が漂う。
取材・文=上岡真里江 写真=桜井ひとし

西武・外崎修汰


打てるイメージが湧かない


 胸に渦巻くモヤモヤは、2022年シーズンが終わっても晴れることはなかった。もう3年間も根強く滞ったままだ。

 18年、19年と圧倒的打力でリーグ連覇を果たした西武の“山賊打線”の中で、打率.287、18本塁打(18年)、同.274、26本塁打(19年)と勝負強さとパンチ力を遺憾なく発揮した外崎修汰の存在は欠かせなかった。その先も、まだまだ成績は伸びていくとの期待の声は大きかった。本人も、さらなる結果を求めてフォーム改善に着手したが、状況は悪いほうに一転。20年後半からは深刻な打撃不振に陥ることとなる。打率は20年.247、21年.220、昨季は.215と下降の一途をたどっているのである。

「苦しかったですね、めちゃくちゃ。自分が打てないのもそうですし、なんか、『自分のせいでチームが勝ててないんじゃないかな』とか『迷惑を掛けてるな』とか、そういうことも思いましたし。とにかく毎日、『苦しい』の連続でした」

 外崎の成績にならうかのように、チームも20年から3シーズン連続で優勝を逃している。もちろん、その原因が自分一人にあるわけではないことは分かってはいるが、それでもレギュラーとして毎試合起用してもらっている以上、責任を感じずにはいられなかった。特にレギュラーに定着した17年以降ワーストの成績に終わった昨季の苦悩は、相当だった。

「本当に、毎試合落ち込んでいましたね。寝る前に、明日の先発ピッチャーの映像やデータなどをいろいろ部屋で見て、『よっしゃ! 明日はこうやっていこう。ああやっていこう!』と、そこで気持ちを切り替えて、眠って、朝起きて、球場へ向かう。で、『大丈夫かな』と思いながら試合をして、打てなくてまた落ち込んで、また反省して、『よし、明日はこれをやろう!』という毎日の繰り返しでした。正直、どんなに気持ちを切り替えて、『こうしよう!』と思って打席に立っても、どのピッチャーに対しても、もう打てるイメージが湧かなかったんです。それって、プロに入って試合に出始めて少ししてからは、ほとんど感じなかったこと。それが出てきてしまった時点で不安ですよね」

 特に18年、19年には自身の中に「このピッチャーに対しては、こうやっていけばいい」という明確なビジョンがあったという。となれば、あとは勝負事。その日の状態、相手投手との駆け引きの結果、「打とうが打てまいが、そこまで引きずりませんでした」。それが、昨季は自分が打っているイメージがまったく湧いてこず、「1打席に1球来るかどうかも分からない甘い球だけを待って、その1球の甘い球を仕留められなかったら、『もう終わりだ』とあきらめてしまっていました。野球ゲーム(『パワプロ』)でいう、“ミートカーソル”がめっちゃ小さく見えるみたいな(笑)。打てるときは、『あ、この辺ね』って、ミートカーソルが大きめだけど、去年はもうめちゃくちゃ限定されてて、『ここしか打てない』と、そのわずかな範囲にかけていたという感じ」

 その不安は、結局シーズンが終わるまで毎試合続いた。

どん底での救いの声


 とはいえ・・・

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