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近本光司の認知を超える

近本光司コラム 第1回 認知を超える「タイミングの中で認知された動きが、それを超えて、自然の動きとして出てくる」

 

虎の韋駄天のイメージはスマート。常にベースボールを思考している。その結果が新人からの2年連続盗塁王。さらに昨季の最多安打とゴールデン・グラブ賞だ。虎の斬り込み隊長がコラムでそのすべてを語る。初回はタイトルになっている「認知を超える」の意味についてだ。

打つ前にはさまざまな準備を頭の中に入れて、投手とのタイミングを計りながら打ちにいく用意をしていく


認知とタイミング


 自分自身の状態を個人的にも知る上で、アマチュア時代からパーソナルで僕のパフォーマンスを見てもらっている方々がいます。彼らといろいろと(ズームなどで)話をしている中で生まれた言葉、それが「認知を超える」です。僕のコラムのタイトルにもしましたが、第1回目は、この意味からお話をしていきたいと思います。

「ボールが止まって見えた」と言われるプロの方もいますし、皆さんも聞いたことがあると思います。しかし、僕はそういう経験が一度もないのです。調子の良いときというのは“気が付いたら打ち終わっている”。つまり、タイミングをとって、トップを作って……そこから打ちにいき、振り終わって気が付いたらボールがヒットゾーンに行っています。

 それはつまり「自分の考えよりも体の反応のほうが先行している」という状態。それも実際にどういうふうに打つのかという考えを作った上で、その練習を繰り返さないと無意識の中で行動できないはずです。だから意識していることや、認知していることよりも、体がそれらを超えていく……考えることよりも先に、自分が考えたことが自然と体で表現できている。それが「ゾーン」に入っているという意味だと思いますし、僕はそれを「認知を超える」という言葉で表現をしています。

 特に打撃は、いろいろなことを考えないと、そこの境地にはいかないと思います。だからこそ、さまざまなことをイメージし、それを練習のときに試していく。その練習を繰り返すことで、考えないでプレーできるようになるのだと思うんです。

 練習では、バットをこの角度で出して、下半身の動きはこう動かして、と考えながら振っているはずです。しかし・・・

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