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【MLB】ヌートバーでも出場機会を争う層の厚いカージナルス外野陣

 

20歳のウォーカーが鮮烈な打撃をオープン戦で披露。カージナルスは外野の選手層が厚く、ヌートバーも安泰ではない。それだけの戦力を擁して今年も優勝候補筆頭になっている


 ラーズ・ヌートバーの所属するカージナルスは、ナ・リーグ中地区の名門で、毎年成績は良いが、2023年は戦力が特に充実しており、ワールド・シリーズも狙えるのではないかと思う。打線は恐ろしいほどだ。

 看板選手は22年のナ・リーグMVPのポール・ゴールドシュミット一塁手とMVP投票3位のノーラン・アレナド三塁手だが、ほかの野手も良い。捕手にカブスの主砲だったウィルソン・コントレラスが入り、二遊間には期待の若手ノーラン・ゴーマンと、スイッチヒッターのトミー・エドマンがいる。

 そして外野。ヌートバーのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でのセンセーショナルな活躍はフロリダ州ジュピターのキャンプ地でも話題だが、それ以上にカージナルスファンを狂喜させているのが20歳のジョーダン・ウォーカー外野手の存在だ。

 3月15日時点でオープン戦で打率.405、3本塁打、7打点で、01年アルバート・プホルスのデビュー時を彷ふつとさせると評判だ。とにかくパワーがケタ外れ。3月3日のナショナルズ戦に二番・左翼で先発。2本塁打を含む4打数4安打3打点だった。2打席目は3回一死走者なし、ケード・カバリ投手に2ストライクと追い込まれながら、3球目内寄りの直球を左中間に推定470フィート(約143メートル)の大ホームラン。左中間のフェンスは377フィート(約114.9メートル)で外野は芝生席だが、その背後にあるコンクリートの通路に落ち、高く跳ね上がった。

 4打席目は7回無死一塁で、1ボール1ストライクからチャド・クール投手の外寄りの直球をライナーで左中間へ、この日2本目のさく越え弾とした。その前の試合でも430フィート(約131メートル)のホームランをかっ飛ばしている。20年のドラフト一巡で、カージナルスの若手有望株NO.1、MLB全体でも4番目に入る。

 195cm、99キロの立派な体躯だ。ジョン・モゼリアック編成本部長は「体つきもプレーも両方すごくて、わくわくする。彼の才能は天井知らず」と讃える。オリバー・マーモル監督も「彼は本物。パワーもすごい。一打席一打席、見ていてわくわくする」と興奮を抑えきれない。

 まだ20歳ゆえ、開幕はマイナースタートの可能性もあったが、この大活躍で下に落とせなくなった。カージナルスにはほかにもタイラー・オニール、ディラン・カールソンと優れた外野手がいて、ヌートバー含め、4人を3つのポジションでどう起用すべきかで、マーモル監督はうれしい悲鳴を上げている。

 ちなみに公式サイトのジョン・デントン記者の予測はウォーカーが二番・左翼でレギュラー、オニールが中堅のレギュラー。ライトはスイッチヒッターのカールソンとヌートバーが交代で出場するというもの。とはいえヌートバーも昨季8月以降のOPS(出塁率+長打率)は.847で速い打球と強肩でレギュラーの座を奪った。さらにWBCでスターの仲間入り。当然、毎日試合に出続けたい。ウォーカーやヌートバーのような才能ある若手が日々出場機会を争う。だから今季のカージナルスは相当強いのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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